自然界の摂理 彼岸について

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、彼岸は季節の境目になっています。
天空で太陽や月、惑星が通る黄道に対して、彼岸の中日は天の黄道と地球の地軸と赤道が交叉する春分・秋分の日にあたります。
彼岸に墓参りをして先祖を供養するという行事が始まったのは平安時代といわれていますが、彼岸とは文字通り「向こう岸」のことで西を指し、これに対して「こちら側」は此岸(しがん)となり東を指しますが、天(あの世)と地(この世)が結びつく季節になります。
(浄土思想で信じられている極楽浄土は西方の遙か彼方(西方浄土)にあると考えられていることからも、あの世を表す言葉になっています)

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ですので、あの世この世が最も通じやすくなる時期として、日本では先祖供養をするようになりました。
お彼岸は「日願」とも言われますように太陽の神を信仰する神道、そして春彼岸は太陽黄径0度、秋彼岸は反対側の黄径180度の位置にあたるように天文知識が盛り込まれ、そして仏教の極楽浄土の考え方から彼岸の原理は生まれており、今日に至る日本独特の風習となっております。

ちなみに今年(2014年)のお彼岸は以下となります。
【 春彼岸 】
3月18日:彼岸入り
3月21日:彼岸の中日(=春分の日。祝日)
3月24日:彼岸明け

【 秋彼岸 】
9月20日:彼岸入り
9月23日:彼岸の中日(=秋分の日。祝日)
9月26日:彼岸明け

俗に、中日に先祖に感謝し、残る6日は悟りの境地に達するのに必要な6つの徳目として六波羅蜜※を1日に1つずつ修める日とされていることからも、仏事からの考え方が盛り込まれていることがわかります。
※参考までに、六波羅蜜(ろくはらみつ、ろっぱらみつ)とは、六度彼岸とも呼ばれ甚深法界の六つの彼岸行のことです。
「到達」「完遂」「達成」を意味する語で、仏教における各修行で完遂・獲得・達成されるべきものを指しています。
・布施波羅蜜 – 檀那(だんな)もしくは檀:分け与えること。具体的には、財施(喜捨を行なう)・無畏施・法施(仏法について教える)などの布施である。
・持戒波羅蜜 – 尸羅(しら):戒律を守ること。尸は屍に通じる。在家の場合は五戒(or八戒)を、出家の場合は律に規定された禁戒を守ることを指す。
・忍辱波羅蜜 – 提(せんだい):耐え忍ぶこと。
・精進波羅蜜 – 毘梨耶(びりや):努力すること。
・禅定波羅蜜 – 禅那(ぜんな):特定の対象に心を集中して、散乱する心を安定させること。
・智慧波羅蜜 – 般若(はんにゃ):諸法に通達する智と断惑証理する慧。前五波羅蜜は、この般若波羅蜜を成就するための手段であるとともに、般若波羅蜜による調御によって成就される。

彼岸に墓参りするのは、墓を通して、先祖のおかげで今の自分が存在していることを思い、感謝するためのものでもあります。
彼岸が七日間あるのは、人間の思いが黄道を通る七曜星(太陽、月、木星、火星、土星、金星、水星)の神に届きますようにとの願いからだとも言われていますが、亡くなった仏様と生きている人が融和する七日間とも言えるのかもしれません。

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