七五三のお祝い。その風習と起源について

明日(11/15)は、七五三ですね。
七五三の風習は算命学や陰陽五行を起源とし、道教の影響を受けているといわれていますので、少し整理してみることにします。

【七五三の三】
 七五三の三は、3歳になった女の子のお祝いの行事です。
 これは、天地人三歳を発端にしています。
 天地人三歳とは、天歳、地歳、人歳の総称。
 ・天歳は人としての生まれながらの基本的な才能のことです。
  手を使い、足で歩き、目で見、口で食し、耳で聞き、鼻で嗅ぎ、頭で考える、といったこと。
 ・地歳は天歳を利用する才能のことです。
  手を使って食べ物を口に入れたり、足を使って目的の場所に移動したり、目で見たものから距離感を計ったりといった、経験や体験によって得る後天的な能力。
 ・人歳は地歳を用いる際に価値判断を行う才能のことです。
  手を使って食べ物を食べようとする前に、食べすぎだったり腐ったものだと体を壊すから注意するとか、目的の場所に移動する際に車や危険な障害がないようにどのように安全なルートで到達するかとか最適な判断をするための能力を表します。

 これら天地人三歳を3年と解釈します。
 人は生まれてから一年目で天歳が備わり、二年目に地歳が備わり、三年目で人歳が備わるため、満三歳で人としての人格が備わる(=”三憶”)ため、”三つ子の魂百まで”といわれる訳です。
3歳を過ぎるころには脳の重さも大人なみになるそうですので、医学的にも”三つ子の魂百まで”は裏付けのある言葉なんですね。
従って、天地人三歳が備わりめでたいということで、3歳のお祝いとなります。
ちなみに不完全な人を三歳の前、つまり”青二歳”と呼ぶのもこのあたりから生まれているようです。

【七五三の五】
 七五三の五は、5歳になった男の子のお祝いの行事です。
 木星、火星、土星、金星、水星の自然界の五元素・五行が、誕生してから一年毎に備わり、5年で全てが備わるためにめでたいということで、5歳のお祝いとなる訳です。

【七五三の七】
 七五三の七は、7歳になった女の子のお祝いの行事です。
 五行に月と太陽の気が備わりめでたいということで、7歳のお祝いとなる訳です。

【陰陽】
 ・三が、天地人三歳の完成。
 ・五が、五行の気が備わる。
 ・七が、五行+太陽と月の気が備わる
 ことで、子供であれば皆七五三のお祝いとなるのですが、ここにも陰陽の原理が生きています。
 お祝い行事の三・陰、五・陽、七・陰に合わせ、女、男、女の順に行われています。
 従って、3歳、7歳は女の子の、5歳は男の子のお祝い行事となる訳です。
 なお、昔は男子15にして元服という行事があったため、これで陽の結びとしていたようです。
 陰・陽・陰・陽ということですね。
 しかし今では、元服の行事が20歳で男女共に成人式に代わってしまったため、七五三のみが残っている、というところです。

【古来の風習】
 ちなみに、昔は三歳は幼児が髪を仲ばし始めるため”髪置”といわれていました。
 生まれて三歳までは髪を剃るのが一般の風習でしたので、三歳で新たに髪形を整えたということです。
 五歳は男子が初めて袴をつけるので”袴着”といいます。
 七歳は女子が付け帯を解いて大人の帯を締めるので”帯解”といわれています。
 ”髪置”、”袴着”、”帯解”の祝儀は古くから行われていましたが、広まったのが江戸時代、今日の七五三の名で祝うようになったのは明治時代だそうです。
 七五三では、子供は冠をつけて碁盤の上に乗り、四方に向かって神に祈ったのですが、これは人生の勝負の場でどちらを向いても勝つように、との願いからです。
 また、七五三で神社に参拝した帰りに子供が提げている千歳飴は、長寿の願いが込められた縁起物で、子供の年齢と同じ本数を食べる慣習です。(今は形ばかりになってしまっていますが。。)
 七五三は、子供の将来の運命に自然界の力を借りようとする古代人の知恵で、それが現代まで脈々と生き続けている訳です。

【お七夜、初七日、四十九日】
 以上から七五三の数には、七種類の気が循環していることがわかりました。
 また算命学では、年だけでなく月や日についても同じように七種類の気が循環する、という考え方をしています。
 例えば一週間がありますが、これは文字通り七種類の月火水目金土日が循環して七曜日の原理になっているといわれています。
 要は、五行と太陽と月、ということですね。
 同じように赤ん坊についても、生まれた日から数えて七日で5行の気と太陽・月の気を備えるのでめでたいということで、お七夜のお祝いとなる訳です。

 また、生まれるということには死が付いて回ります。
 死者は、亡くなった日から数えて七日かかって天空の星々を1日ずつ回る=霊魂の挨拶回りから、その死者の労をねぎらい、いわゆる”初七日”となるのです。
 これは、人は生まれたときに七日で5行の気と太陽・月の気を備えるため、亡くなった場合にはそのお返しを同じ日数をかけて行うという意味も込め、初七日の行動となる訳です。
 もちろん、人は一生涯で7つの気を沢山頂いているので、一度の挨拶回りだけでは十分に返しきれません。
 そこで、その挨拶回りを7回繰り返して全部の気を返す、ということから、7日の7倍で”四十九日”の原理になっているといわれています。
 こうしたものは仏教の行事ではありますが、算命額的な考え方が随分取り入れられています。
 死者の霊を祭る行事のひとつに年回忌(3回忌、7回忌など)がありますが、これも同様ですね。

このように自然界の法則を生活の中に取り入れた風習は、祖先が後世に残してくれた貴重な情操教育ともいえます。
確かに、しきたりの型にばかりとらわれるのも困りものですが、その中身をじっくり味わうことで自然界の法則を大切にし、ひいては自然界と共生することこそが、本来の人の育ち方であろうと思うのです。

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