盆栽・BONSAI!究極の伝統芸術品、小宇宙化した箱庭造形美!

日本には、世界に誇れる伝統芸術や伝統文化が数多ありますが、大半は理解するのにその背景となる思想や考え方、知識が必要となるため、海外で評価されるものも限られてしまっていますね。
こうした状況はとても残念なので、何とか切り口を変えることさえできればいいのに、と思わざるを得ないものは数多あります。

そんな中、日本古来の盆栽は若い人、老人、子供を問わず、見ただけでその造詣が理解でき深く感動するという程、心に響く芸術作品です。
しかも、21世紀に入り中国、イタリア、オランダ、米国といったところで、日本の盆栽「BONSAI」がブームになっているそうです。
アジアでは高額な盆栽が富裕層のステータスシンボルになっており、欧米では簡易な盆栽がインテリアとして受け入れられているらしく、その輸出額は年々増加中。(数年先には100億にも届くと見られている)

えー、盆栽なんて古臭くて年寄りじみていて、若者向けじゃないし、なんて思われますよね。
でも、足元をちゃんと見れていないのと同様、日本人自身が日本の素晴らしさに気づいていない代表格のひとつが盆栽なんですよね。

さいたま市大宮盆栽美術館が所蔵している『推定樹齢450年の五葉松・日暮らし』と『推定樹齢350年の五葉松・千代の松』。
この盆栽は、評価額がそれぞれ1億3,800万と1億2千万円。

higurashi

【日暮らし】

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【千代の松】

先日テレビの特集でも出ていた『樹齢1000年の五葉松 青龍』も軽く億超えで値段がつけられない程の逸品です。

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【青龍】

そもそも盆栽は、自然の風景を模して造形するものですが、そこで完成するのではなく、その後も刻一刻と変化、成長する命のある究極美の造形物です。
樹形によって、様々なものがあり、
直幹:幹が根元から樹冠まで、真っ直ぐに立っている姿のもの
模様木:木ぶりに柔らかい曲線を持つ姿のもの
文人木:枝数が少なく、幹も細めの模様木姿のもの
斜幹木:一本立ちで幹が左右いずれかにかたむいている姿のもの
懸崖木:樹木の頂点がが根元よりも下にあるもの姿のもの
双幹木:一株から二本の幹が立ち姿のもの
株立ち木:一つ株から3本以上の幹が立った姿のもの
寄席植木:一鉢の中に数本の木を配置した姿のもの
などに分類されます。
野外で見られる大木の姿を、自然の景観に似せて鉢の上に縮尺し再現するため、施肥、剪定、針金掛け、水やりなど様々な技巧で手を入れ続けて手間と時間をかけて作る生きた小宇宙の箱庭造形物。
単に、その枝ぶり、葉姿、幹の肌、根の姿を鑑賞する趣味の領域だけでなく、その造形とプロセス、そしてその後も生き続ける伝統芸術品です。

自然が織り成す四季の変化や植物の成長していく生命の強さを感じとることも出来る盆栽。
そして、世界からも大きな注目を集めている盆栽。(しかもその盆栽鉢自体も、漆器=ジャパンとして高い評価を受けているのです)
愛好家だけの閉じた世界での趣味に留めるのは勿体無さ過ぎます。
盆栽が持つ本来の美しさ、造形美に目を向けてみてはいかがでしょうか。

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