『幽玄』『風雅』。美しい言葉ですよね。
「幽」はかすかで奥深いこと、「玄」は暗く奥深いこと。
『風雅』は高尚な美の趣を表し、幽玄の境に遊ぶこと。
姿に見えない余情や景色、言葉で言い表せない柔和さや上品さを伴う心有る日本美の言葉です。
特に、能楽・禅・水墨画・連歌・茶道・俳諧など、中世・近世以来の日本の芸術文化をひとことで表すに相応しい言葉、幽玄。
本来は中国の典籍(老荘思想など)や仏教の分野で用いられる漢語でしたが、平安時代に和歌を評する用語として多く用いられて以来、様々な文化芸術を表す際に使われている美しい言葉です。
・物事の趣が奥深くはかりしれない様。
・趣きが深く、高尚で優美な様。
・気品があり、優雅な様。
・言葉に表れない、深くほのかな余情の美の様。
・「もののあはれ」を受け継ぐ、美的理念のひとつ。
・言外に感じられる上品で優しくもの柔らかな情趣。
・艶でほのかな、言葉に表されない感覚的な境地やものさびた閑寂な余情。
・美しく柔和な風情、静寂で枯淡な風情。
といったものを一言で表す、東洋文化・芸術美への尊敬をも込めた情趣の表現として確立していますね。
日本の幽玄は、目に見えない余情や景色、言葉だけでは言い表せない柔和さや上品さ、そしてその境地そのものを示す、美しい言葉です。
美は、言葉で追求することが難しく、特にその美が高い位にある程、ますます言い表すことが困難となります。
そのため、言葉で表すことができない美についての、言葉による表現形式のひとつが幽玄であり風雅。
幽玄とは、心有るが故に、言葉では言い表しきれない境地を察し、その境地において言葉で発せられるもの。
そして風雅とは、その幽玄の美の趣の中で遊ぶこと。
幽玄にして風雅に生き抜いてみたいですし、またこうした境地において、このような美しい言葉を発せられるような日常を過ごしていきたいものですね。