今年7月に「明治日本の産業革命遺産」として、幕末の1850年代から明治末期の1910年までの23の施設が、世界遺産に登録されましたね。
国内で19番目、文化遺産としては15番目となる登録の正式名称は「明治日本の産業革命遺産-製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」。
産業遺産としては「石見銀山遺跡とその文化的景観」「富岡製糸場と絹遺産群」につづく3番目の登録で、重工業分野における産業遺産としてはわが国初の登録。
西洋で起きた産業化が非西洋国家の日本に伝わり、約50年間という短期間で飛躍的な経済的発展を初めて成し遂げた成功例として、歴史的な価値が認められた岩手県から九州、山口に点在する23の施設が該当しています。
007や進撃の巨人などの映画のセットでも知られる長崎県端島、通称「軍艦島」など有名なものもありますが、中にはほとんど知られていないものもあり、世界遺産に登録されてからというもの、俄然注目が集まっています。
最初は、23の施設ひとつひとつが世界文化遺産として登録されたのかな、とも思われましたが、その歴史上の重要な段階を物語る建築物をまとまった集合体として捉える産業遺産群として登録されたようです。
これは、複数の構成資産を複合体として登録するシリアル・ノミネーションという形式らしく、世界遺産リストの不均衡を是正するために導入された選考方針だそうですが、個々の資産に顕著な普遍的価値が認められなくてもストーリーとしてそれが認められば世界遺産になるというもの。
ざっと、並べると、以下のようになっています。
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1 萩 1 萩反射炉
2 美須ケ鼻造船所跡
3 大板山たたら製鉄遺跡
4 萩城下町
5 松下村塾
2 鹿児島 6 旧集成館(旧集成館反射炉跡、旧集成館機械工場、旧鹿児島紡績所技師館)
7 寺山炭窯跡
8 関吉の疎水溝
3 韮山 9 韮山反射炉
4 釜石 10 橋野鉄鉱山・高炉跡
5 佐賀 11 三重津海軍所跡
6 長崎 12 小菅修船場跡
13 三菱長崎造船所第三船渠※
14 三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン※
15 三菱長崎造船所旧木型場
16 三菱長崎造船所占勝閣※
17 高島炭鉱
18 端島炭鉱
19 旧グラバー住宅
7 三池 20 三池炭鉱・三池港(三池炭鉱宮原坑、三池炭鉱万田坑、三池炭鉱専用鉄道敷跡、三池港)
21 三角西(旧)港
8 八幡 22 官営八幡製鉄所(八幡製鐵所旧本事務所※、八幡製鐵所修繕工場※、八幡製鐵所旧鍛冶工場※)
23 遠賀川水源地ポンプ室※
※印は非公開
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その前段の長崎大学の「軍艦島3Dプロジェクト」では、3Dレーザスキャナや無人飛行機(ドローン)による空撮画像から軍艦島を“まるごと3Dデータ化(以下軍艦島3D)“が行われ発表されていましたが、これが軍艦島の記録、保存管理をする一環として素晴らしい成果なんです。
軍艦島3Dプロジェクト | インフラ長寿命化センター(長崎大学)
せっかく世界遺産に登録されたのですから、他の22の施設も同様に3Dデータ化されるようなプロジェクトが立ち上がってくれればなあ、と思いますね。