算命学ならびに東洋史観の観点から見た、人の本能がつくる五つの時代の事象をもう少し具体的に説明しておきます。
先に説明した内容については、こちらを参照ください。
・動乱期(西方通過時代)
季節に例えれば秋で、地上の恵みが無くなり激しい生存競争がくり広げられる。
人界では人の闘争心が大きな集合体となる。
平和が長く続くと制度疲労や矛盾が目立ち、それを是正しようとする動きが出てくる。
それには古いものを破壊しなければならず、改革の嵐が吹き出す。
それまでの価値観が崩れ下克上の混乱の世となる。
実力主義の不安定な時代で、新たな勝者と敗者が生まれ、国家はまとまりを欠くようになる。
国力が衰退するため、人心は荒れ全体的にゆとりが失われる。
他国との衝突が起きやすい土壌が生まれる。
・教育期(北方通過時代)
自然界でいう冬にあたり、活動が萎縮する。
新しい法律が国民の間に浸透し、世の中が落ち着き始める。
動乱を体験したことから、新しい知識や知恵が求められ、国家の再興が始まる。
瞬間的なパニック状態、内乱や戦争という現象が起こることがある。
(次の平和な時代に移る前に、混乱した国民の価値観を固定する現象)
もし混乱した価値観のまま平和を迎えると、真の平和にはなりえない。
鬼門通過現象が原因となり、国民の心を変える現象がおきる。
国民の心を変える現象がおきた場合、三十数年後の次の動乱期にその結果が表れる。
(鬼門通過現象と次のサイクルの動乱期とは、裏側で繋がっている)
・経済確立期(東方通過時代)
自然界は一陽来復のときで開放感を感じさせる季節を迎える。
人の守備本能が強まり、世の中が安定する平和な時期となる。
前の教育期に形成された価値観が世の中の常識として浸透する。
人心は安定して国民は力を合わせて生活向上に邁進し、国全体が大きく発展する。
庶民に密着した形での経済が伸び、大量生産・大量消費型の平和産業に優位な環境となる。
・庶民台頭期(南方通過時代)
自然界では、木の実が熟す季節である。
豊かな時代を迎えた国は、自国だけではもの足りなくなり、外国に進出する。
一丸となって頑張ってきた人の間にゆとりと自由が生まれる。
個人主義的な傾向が強まり価値観は多様化する。
人の自己主張や権利意識が強まることで、国家はまとまりを欠き教育は荒れる。
人の心にある種の「おごり」が生まれ、自己の考えや感情を他国に押しつけやすくなる。
・権力期(中央通過時代)
自然界は土用の晩夏で季節感が失われ、停滞する。
人界では行き過ぎた個人主義に体制側が危機感を抱き、国家権力で抑えようとする。
陽と陰の現象が入り乱れ、国家の内側が弱体化しているために、反って外側に対して強さを発揮する。
人の意識の中には、明るい陽の気分が残っているが、進む方向は陰の暗い時代となる。
政界が弱体化し国家を指導する力は官僚へ移っていく。
国全体が「このようにしなければならない」という風潮になり、国家も国民も視野が狭くなる。
時代の推移は、伸びる産業と衰退する産業をつくり出すことになります。
また、動乱期は国民の攻撃本能が強まるので、最悪の場合は戦争への道を進むことになります。
大事なことは、このような傾向を踏まえ、以下に問題を回避し最善の道を選択するか、その知恵こそが真の軍略なのです。
ついでに、各時代における経済の特色を説明しておきます。
・動乱期
新しい産業に優位な環境になる。
国家財政は衰弱し、一部の者に富が集中したりする。
国家が貧しくなり、おおむね借金財政となる。
陽周目(奇数周目)では他国から借金する、他国から財を吸い上げられる、といった経済構造が生まれる。
陰周目(偶数周目)では他国の経済によって自国の経済がマイナスになる状況が生まれる。
・教育期
知的創造性の産業が伸展する
経済成長が進み、国家の再興が始まる。
新しい知識や知恵、教育への関心が高まり、教育関連の消費が拡大する。
この時期に習得した知識や知恵が基になり、次の経済確立期で大きく伸展する。
この時期に教育に力を入れない国家は次の経済確立期での伸展が期待できない。
・経済確立期
大量消費型の平和産業が伸展する
経済成長が持続し、国民が豊かさを肌で感じるようになる。
国全体の価値観が経済第一という風潮になる。
社会が安定し経済が大きく発展するが、反面、経済以外のことが忘れられる傾向も生まれる。
・庶民台頭期
経済が安定する段階で、その恩恵が国民生活に広く行き渡り、消費経済が拡大する。
庶民生活に密着した産業が大きく伸展する。
国民生活の消費経済が拡大するが、それは陽周目(奇数周目)に顕著に表れる。
・権力期
国家が基幹産業に肩入れする環境が生まれる。
国家の経済力が弱まるため、税金の取り立てが厳しくなり、国民生活が圧迫される。
豊かな人たちと貧しい人たちの格差が拡大し、中産階級にとっては受難の時代になる。
経済界が官界と一体化する経済構造となる。
経済は衰退に向かい二極化現象が進行する。
東洋万象学には、”動乱期の国民は無形を求め、平和期の国民は有形を求める”という格言があります。
このような循環から、動乱期はデフレ経済、平和期はインフレ経済になりやすいそうです。
以上の内容を踏まえ、歴史を振り返るためにも日本の前回の時代を図に表してみました。
明治維新後の出発点となるのは、大日本国憲法が施行された1890年となります。
一巡して権力期の最中1939年に太平洋戦争に突入し、そのまま衰退・疲弊の一途を辿って滅びた後、一旦リセットがかかりました。
今の日本の時代については先に説明してありますので、こちらを参考にしてください。
そこで、この2つの日本時代推移地図において、驚くべき符合があります。
以前説明した鬼門という考え方です。
鬼門は鬼が出入りする北東の方位とされていますが、算命学の時代推移にもそれが当てはまります。
鬼門が通過する時期には、国家を揺るがすような大事件や事象が起きるといわれていますが、凶事の方角とは言ってもここでは良いことも悪いことも含めて、時代の転換となることが起きると言われています。
では、各々の北東方向を振り返ってみましょう。
大日本国憲法の時代における北東方向には、1904年から1905年にかけて日露戦争が起きています。
ちなみに、その裏鬼門となる南西方向には、前触れのように1923年に関東大震災が起こり、その後1929年に世界恐慌が起きています。
日本国憲法の時代における北東方向には、一巡目の鬼門の時期に1960年の安保闘争が起きています。
ちなみに、その裏鬼門となる南西方向には、1990年にバブルが弾けています。
そして二巡目には、あなたの記憶にも未だ残る、2011年東日本大震災が起きてしまいました。
もちろん、多くの犠牲が出た上に、既に3年半が経っても元の生活に戻れない方々が未だ多くいらっしゃるこの状況に、単なる歴史から俯瞰した運命、と片付けるような安易な説明とするつもりはありません。
しかし、それでもこういった大きな災害や事件が起きることには歴史から見ても一定のパターンが見えてくるので、
・そこを見据え認識しながらどう問題解決していくか
・想定される対策を講じて少しでもその危機に備えていく
ということを国家的レベルで取り組んでいく必要があると考えるのです。
このような混乱が発じているときには、危機を乗り越えるために国民や政府の英知が結集しやすくもなりますので、そこをもっとうまく統制していってくれることを望まざるを得ません。
そして私達ひとりひとりも、問題が起きてもただ翻弄されるばかりで場当たり的な対応でその場を凌いで行くのではなく、問題を事前予測しながら対応を想定し、しっかり目を前に向けて力強く進んでいく強さが必要だと考えるのです。
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