冠婚葬祭 葬儀後の手続き諸々について

葬儀後は、社会的、法律的に様々な諸手続きが必要となりますが、これら一連の手続きは非常に面倒で大変なものです。
特に役所関連は、こちらからの要件はひとつなのに、用途によって窓口をあちこち駆けずり回らされ、面倒この上ないです。

役所の建屋や階が異なるので、あちこちうろうろ。
その中でひとつでも足りないものがあると、また出直しです。
同じ役所内で発行できる添付書類(住民票、戸籍謄本etc)なども多々あるのに、それを用途別にいちいち取得させられる上に、住所、氏名などは、それぞれの窓口毎に一体何度書いたことか。
お役所の縦割り仕事とひとことで片づけられない程の問題だなあ、と痛感です。
ましてや、身内の葬儀後の手続きであれば、精神的にも100%健全って状態でもないですし、多分頭も普段のように回るだけの余裕を欠いています。
しかも、こうした手続きを足腰の弱ってきたお年寄りが対処するとなったら、それだけでもかなりな負担だろうなあ、と実感!
これ、一般の企業が行うお客様対応だったら、100%間違いなく苦情係り行ですね。

客観的にお客様サービスとして考えれば、
・まずは、役所を訪れた人毎にひとつの窓口とする。
 役所側もひとり、相手もひとりで1:1の対応です。
・ひとりの担当の人で、対処すべき手続き処理を実施する。
・手続きに必要な各窓口毎の要件は、その担当者が各部署に直接連絡を取って対応する。
・要は、役所の窓口担当者配下に、役所内の各部署が並列でぶら下がっているような仕組みです。
・処理モレなどもすべて最初の窓口だけでチェックし、事務手続きを訪問してきた最初の窓口だけで完結させる。
・こうしたことで、必要事項の記載や身分確認も必要最小限に留める。
とすればいいだけです。
単純な話しだと思うんですけどね。

私自身が業務の要件をお客様から聞き出し(業務コンサル、業務要件定義)、それを業務で問題なく使って頂くためのシステムの構築(業務をシステムに落とし込み)を行っているということを生業としているので、そういった目線でお役所仕事の様子を見てしまうのですが、各窓口越しにみえる人の動きや部署毎で異なるシステムの状況などを見ているだけでも、効率の悪さや無駄の多さがやたらと気になってしまいます。
こうした部分、無償でアドバイスしてあげるから、根本的に見直さない?と言いたくなるのは私だけでしょうか。

ま、こうした抜本的な改善はいずれにしても当面先のことだと思われますので、(人や地域によってそれぞれ内容は異なりますが)、葬儀後の主な手続きについてまとめました。
もっと細かいものもいろいろあったのですが、まずは最低限の部分だけでも整理です。
何かのご参考になれれば、と思います。

【死亡届】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
死亡届 死亡地、本籍地 住所地の市区町村窓口 (24時間受付) 死亡届 、 医師の死亡診断書(死体検案書)、

届出人の印鑑 (葬儀社の手続き代行も可能)

死亡の事実を知った日から7日以内

(国外で死亡した時にはその事実を知った日から3ヶ月以内)

死体火葬許可申請書 死亡届と一緒に行う 死体火葬許可証交付申請書 死亡届と同時 死体火葬許可証

【健康保険】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
国民健康保険 住所地の市区町村
国民健康保険課窓口
保険証の返還(書き換え) 速やかに 葬祭費(3~7万円)
※市区町村によって異なる
葬祭費の請求

(葬儀の領収書、印鑑、振り込み口座番号等が必要となる)

2年以内
社会
保険

共済
保険
本人 勤務先又は管轄の社会保険事務所 保険証の返還 5日以内(原則) 埋葬料(費)
5万円
※埋葬費は5万円の範囲内で埋葬にかかった費用を支給
埋葬料の請求

(印鑑、住民票等が必要な場合もある)

2年以内
家族 保険証の書き換え 速やかに
埋葬料の請求 2年以内

【労働保険】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
労災保険 勤務先又は管轄の労働基準監督署 遺族補償年金、遺族補償一時金、葬祭料等の請求 5年以内(一部2年以内のものもある) 条件により、遺族補償年金、遺族補償一時金、葬祭料等
雇用保険 受給している公共職業安定所窓口 未支給失業給付等の請求
(失業給付を受給中等に死亡した場合には未支給の失業給付金等が家族等に支給される)
死亡を知った日の翌日から1ヶ月以内 未支給失業給付等

【住民票】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
住民票の
抹消
住所地の市区町村
住民登録担当窓口
通常は死亡届の提出によって、住民票から抹消される 死亡届提出後1~2週間で手続き完了
世帯主の
変更
世帯主変更届
(世帯主が死亡した場合に必要となる。
ただし、その世帯に属している人が1名以下になってしまった場合は必要なし)
14日以内(原則)

【税金】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
所得税 勤労者の場合は勤務先
その他は税務署
準確定申告

(生命保険の領収書等、個々の条件により異なり、
扶養家族の死亡の場合は医療控除の対象となることもある)

4ヶ月以内
(医療控除は5年以内)
医療控除の場合は還付金
相続税 税務署 基礎控除額をこえる場合は要申告

(条件によって金額が異なる)
相続税申告書、遺産分割協議書等

10ヶ月以内

【印鑑登録・運転免許証の返還】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
印鑑登録 死亡届により自動的に抹消される
運転免許証
の返還
公安委員会 運転免許証
(更新手続きをしなければ自然消滅するが、本来は返却)

【年金・医療関係】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
国民年金 加入者の場合 住所地の市区町村
国民年金課窓口
年金手帳の返還
遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金等の請求
死亡一時金は2年以内
その他は5年以内
条件により死亡一時金、
遺族基礎年金、寡婦年金
受給者の場合 年金証書の返還
未受給年金の請求等
(条件により手続きが異なる)
14日以内(原則) 未受給年金
厚生年金

共済年金
加入者の場合 勤務先又は管轄の社会保険事務所 年金手帳の返還
遺族厚生年金等の請求
(条件により手続きが異なる)
5年以内 条件により遺族厚生年金等
受給者の場合 管轄の社会保険事務所 年金証書の返還
未受給年金の請求等
(条件により手続きが異なる)
10日以内(原則) 条件により遺族厚生年金等未受給年金
老人医療費受給者 住所地の市区町村の高齢者福祉担当窓口 医療証又は医療受給者証返還 10日以内(原則)
医療費助成受給者 住所地の保健所 医療券、受給証、医療証返還 速やかに
シルバー
パス
最寄りの(社団法人東京バス協会に加盟している)バス営業所 シルバーパスの返還 速やかに
被爆者健康手帳保持者 居住地を所管する保健所等 被爆者健康手帳(返還)
手当有りの場合はさらに、手当証書、届け出者の印鑑、死亡診断書
(葬祭料を申請する場合には、他に提出書類が必要)
14日以内 葬祭料
(189,000円)
身体障害者手帳保持者 住所地の福祉事務所 身体障害者手帳の返還 速やかに

【住宅関係】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
公団住宅 単身 管轄の都市公団案内所 退去届け 速やかに
同居の
家族あり
名義承継の手続き 速やかに
都営住宅 単身 管轄の東京都住宅供給公社窓口センター 返還届け 速やかに
同居の
家族あり
管轄の社会保険事務所 世帯・名義の変更届 速やかに
都民住宅 都民住宅の管理者 管理者に問い合わせを 速やかに
民間住宅 家主・地主 家主・地主に問い合わせを 速やかに

【銀行貯金・郵便貯金など】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
銀行貯金
(相続・名義変更)
取引銀行 ・貯金者の死亡を知った時点で口座が閉鎖される

・葬儀費用等の引き出しには、法定相続人全員の戸籍謄本、
故人の戸籍謄本又は除籍謄本、法定相続人全員の印鑑証明書、
葬儀 費用見積書等が必要

・解約は、相続関係届出書(法定相続人連署)により可能

速やかに 医療控除の場合は還付金
郵便貯金 郵便局窓口 銀行貯金に準ずる 速やかに
有価証券 取引証券会社 一般相続財産であり相続関係書類が必要 特になし

【その他(クレジットカード・光熱水費など)】

種類 届出先 提出書類等 届出期間 交付内容
クレジット
カード
取引会社の相談窓口
1.残債あり
 脱会届、クレジットセーバーサービスを
利用する場合は死亡診断書
 (郵送での手続きも可能)
2.残債なし
 脱会届
 (郵送での手続きも可能)
速やかに
生命保険 民間会社の保険
(団体扱いは所属団体へ)
取引会社の営業窓口 保険金の請求
(保険証書、死亡診断書、戸籍謄本、
受取人の戸籍謄本、印鑑証明、
入院給付金がある場合は入院証明書、
印鑑等条件により手続きが異なる)
3年以内が多い
(原則は2年以内)
サービスセンター、
窓口へ確認
保険金
郵便局 郵便局窓口 同上 5年以内 保険金
光熱水費 電気・ガス・水道 管轄の事業所・営業所またはお客様相談室 名義変更届等
(条件によって電話やインターネットでも手続きが可能)
速やかに
電話 管轄のNTT営業所 名義変更届等

(条件によっては、郵送でも手続きが可能)

速やかに

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