ボンドマティーニをご存知ですか?
映画「007」で主人公ジェームス・ボンドが注文するマティーニで
「Vodka Martini,Shaken,not stirred 」(ウォッカ・マティーニ、ステアではなくてシェイクしてくれ)
の台詞は超有名ですよね。
ホントはバーに行って試してみたいと思いながら、あまりに芝居掛かりそうで止む無く自前で作ってみたこともありました。
でも自分で作ると、ウォッカの香りを減らすためにベルモットを多めにしがちで(まあ、それでも十分美味いのですが)どうも本来の雰囲気が出ません。
やっぱ、マティーニはバーカウンターで飲むのが一番ですね。
前出のボンドの台詞ですが、マティーニはステア(軽く混ぜる)して作るため、普段バーテンダーに頼むとそのままで出てきます。
で、なぜあえてシェイクさせるのかというと、この方が酒がしっかり混ざって味が柔らかくなるんですよね。
マティーニの口当たりを軽めに仕上げて、何杯も飲んでしまおうという呑兵衛のボンドならではの目論見なんだろうなあ、と映画を見ながら思う訳です。
で、2006年に公開された映画『007 カジノ・ロワイヤル』では、更にアレンジされたマティーニが出てきます。
ドライジン2に対してドライベルモット1、オレンジ・ビター2~3滴と砕いた氷を入れてステアし、オリーブを飾ってレモン・ピールを振りかけるのが一般のマティーニ。(ドライマティーニだと、ジンの比率が3~10へと上げます)
これ対し、ボンドが通常頼むウォッカ・マティーニは、ジンではなくウォッカになります。(ウォッカ3に対してドライベルモット1)
で、カジノ・ロワイヤルの中では、ダニエル・クレイグ扮するボンドがオリジナルのレシピを指定する訳です。
「ゴードンジン3にウォッカ1、キナ・リレのヴェルモット1/2を冷たくなるまでシェークして、グラスに注ぎ、レモンの皮を大きく薄く切って入れる」
ってな感じで。
その後、味見して気に入り「ヴェスパー・マティーニ」と名付けるのですが、これはその場で傍に座るエヴァ・グリーン扮するヴェスパーの名前。
いいシーンです。
※)この「ヴェスパー・マティーニ」。
キナ・リレのヴェルモット自体は終売しているらしく、代用品としてリレ・ブランが使われている(いずれもフランスのリレ社 (fr:Lillet) )ことから、現在飲めるのはオリジナルとはちょっと違うそうです。
映画「カジノ・ロワイヤル 」の公開当時はリレ・ブランも入手困難となったようですが、今は普通に酒屋や通販でも買えますので、試してみてください。
しかし、その後ヴェスパーを失ったボンドは「ヴェスパー・マティーニ」を二度と口にすることはなく、以後「スカイフォール」でも他の007作品でも、注文するのはウォッカ・マティーニとなります。
ちなみに「キナ」とは「キニーネ」というマラリアの特効薬の一種で、キナの皮から抽出される有機化合物から非常に強い苦みが出るのが特徴のようです。
日本ではこのキニーネ、劇薬に指定され薬事法で取り締まられているため、製造も輸入も一切できません。
実はキナ・リレ自体、昔から日本では飲めなかった、ということですね。
では、代わりにリレ・ブランでボンド気分と参りましょうか!
今回はこんな感じでおしまいです。
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