水琴窟!日本庭園文化の情緒ある音響技法!

先日、あるビルの一角にある御茶屋さんに寄った際に、その屋内に「水琴窟」があるのを見つけました。
珍しいので聞いてみると、フロアを掘って甕(かめ)を埋めてあるとのこと。
その仕組みを知らなかったこともあるのですが、あの独特の水滴音を鳴らすためには、共鳴させるための地中に埋めた甕が必要だったことに感心してしまいました。

ということで、今回は「水琴窟」です。

ルーツは江戸時代初期、作庭家でもある大名茶人:小堀遠州が考えた蹲踞(つくばい)の排水装置「洞水門」を起源としているようです。
日本庭園の蹲踞や縁先の手水鉢からあふれでた水を利用する、日本独自の音響装置であり、日本庭園文化における最高技法のひとつである「水琴窟」。
手水鉢の近くの地中に小さな穴を開けた甕を伏せてあり、空洞の中に水滴を落下させると底に溜まった水面に滴が落ちて、甕中に反響する仕掛けで、手水鉢の排水を処理する機能を持つ合理的な発音装置です。
その音色が琴に似ていることから、いつしか「水琴窟」と呼ばれるようになったとも言われていますが、定かではありません。

構造としては、ざっとこのようなものです。

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・空洞は瓶を逆さにして地中に埋めることによって作りだされる。
・空洞の形状には吊鐘形(円柱形、上部は半球形)、銅壺形(角柱形、上部は水平もしくは若干反った形)、龕灯形(円柱形、上部はが大きく反った形)がある。
・空洞の幅と深さの関係のバランスによって音の質に違いが生じる。
・空洞の側面および上部は石・陶器・金属などによって造られ、側面には土留が設置される。
・底部は丸小石、割石、煉瓦、瓦などによって造られる。
・空洞の上部には水を落とし、さらに音を空洞の外部に漏らすための縦穴をあける。
・水が空洞の壁を伝って流れ落ちないようにするため、縦穴の下端には水切りを用意する。
・縦穴の上部は方形または円形かつすり鉢状に整形される。

時代と共に消え去り、ほとんど見ることもなくなっている「水琴窟」ですが、日本の情緒ある音風景として見直され、地域の各地で再び甦ることを願いたいものです。

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