知のトップランナー:あなたがお気に入りの、深遠でエレガント、美しい説明は?

「あなたがお気に入りの、深遠で、エレガントで、美しい説明は?」
こんな質問を投げかけられたら、あなたは何と答えますか?

こうした問いに対して、世界の第一線で活躍する知のトップランナー達が回答したものをひとつにまとめた書籍が、じわじわと人気を挙げています。

その本とは、『知のトップランナー 149人の美しいセオリー』
原題”This Explains Everything: Deep, Beautiful, and Elegant Theories of How the World Works.

本の編者ジョン・ブロックマンは、科学サロンEdge.orgの主宰者で、毎年そのサイト上のAnnual Questionsで恒例になっている1つの質問を知のトップランナー達に投げかけています。
この科学サロンEdge.orgは、ジョン・ブロックマンが進化生物学、情報科学、物理学などの分野の刺激的な学者や知識人、芸術家を集めて創った私的サイトで、蒼々たるメンバーが名前を連ねる優れた企画サイト。
そして、今人気を博している『知のトップランナー 149人の美しいセオリー』は、2012年に出された以下の質問に対する149人分の回答をまとめたものなのです。

「あなたのお気に入りの、深淵で、エレガントなあるいは美しい説明は何ですか?”What is your favorite deep, elegant, or beautiful explanation?”」

ちなみに質問は1998年から投げかけられているらしく、2005年分からは書籍としても出版されています。
Annual Questionsでは、過去の回答もすべて掲載されていますので、ご興味がある方はご覧になってみてください。
今回日本で発売された2012年の質問版書籍は、日本語の翻訳版としては初めての試みのようですので、過去の分も出版されることを期待してしまいますね。(個人的には、2005年版や2007年、2009年、2013年版あたりが出版されて多くの人の目に触れればいいな、と思っています)
過去の質問は、こんな感じです。

1998「あなたが自問している質問は何ですか?”What questions are you asking yourself?”」
1999「この2000年間で最も重要な発明は何ですか?”What is the most important invention in the past two thousand years?”」
2000「現在の最も重大なレポートされてないストーリーは何ですか?”What is today’s most important unreported story?”」
2001「消え去った質問は何ですか?”What questions have disappeared?”」
2001「今何が?(9.11の後の緊急問題提起)”What now?”」
2002「あなたの疑問は何ですか、そしてそれはなぜ?”What is your question? why?”」
2003「国家や世界にとって緊急の科学的問題は何ですか?”What are the pressing scientific issues for the nation and the world, and what is your advice on how I can begin to deal with them?”」
2004「あなたの法則は何ですか?”What’s your law?”」
2005「あなたが自分では証明できないけれども真実だと信じていることは何ですか?”What do you believe is true even though you cannot prove it?”」
2006「あなたの危険なアイデアは何ですか?”What is your dangerous idea?”」
2007「あなたは何について楽観的ですか?”What are you optimistic about?”」
2008「あなたは何について意見を変えましたか、そしてそれはなぜ?”What have you changed your mind about? Why?”」
2009「すべてを変えるものは何でしょうか?”What will change everything?”」
2010「インターネットはあなたの思考法をどのように変えていますか?”How is the internet changing the way you think?”」
2011「みんなの認識ツールキットを改善する科学的なコンセプトは何ですか?”What scientific concept would improve everybody’s cognitive toolkit?”」
2012「あなたのお気に入りの、深淵で、エレガントなあるいは美しい説明は何ですか?”What is your favorite deep, elegant, or beautiful explanation?”」
2013「私たちは何を恐れる「べき」でしょうか?”What *should* we be worried about?”」
2014「もう引退してもいい科学的アイデアは何でしょうか?”What scientific idea is ready for retirement?”」

それぞれの回答は1~5ページ程度なので、気になる回答者だけをピックアップしていっても十分楽しめるますが、分野毎に纏められた149の回答は、順に読み進めるとそれぞれが繋がっていることに気付かされるので、如何様にも読む楽しみが味わえる本になっています。
回答の分野も多岐に渡っており、物理学、生物学や数学、言語、人間科学やアート等あらゆる角度から差し出されます。
進化論、一般相対性理論、量子論、光子理論、ハイゼンベルグの不確定性理論、電磁理論、熱力学、宇宙論、心理学、哲学、アート、大陸移動説、天動説、情報理論、記述理論、鳩の巣原理、ムーアの法則、コリングリッジのジレンマ、2D:4D比原理、左利き喧嘩上等説仮説、etc….。

ちなみに回答の中で最も多かったのは、自然淘汰という概念を呈した「ダーウィンの進化論」。
回答ひとつひとつを見ても、進化論の影響はあらゆる分野に至り浸透していることがよくわかりますが、それというのも”なるべく少ない仮定のもとで多くのことを説明している”という点で、エレガントさが突出しているのが自然淘汰の理論だからだそうです。

ページをめくるたびに、こうした規模の広さ、知の可能性を思い知ることが出来、脳がバージョンアップするような刺激を受けるに違いありません。
そういった意味では、質問で投げかけられた”深遠、エレガント、美しさ”が回答そのものにも表現されている訳です。
とにかく啓発的で面白く、読んでいるだけで知的に興奮できますので、知のトップランナー達の高度な競演を是非ともご賞味してみてください。

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なお、『知のトップランナー 149人の美しいセオリー』自体がひとつのブックガイドとしても利用できますので、ここで紹介された書物や回答者の著書を読んでみるのもひとつの楽しみ方かもしれません。
幾つかピックアップしておきます。

【チャールズ・ダーウィン】
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【リチャード・ドーキンス】
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【ジャレド・ダイアモンド】
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【スティーブン ピンカー】
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【V・S・ラマチャンドラン】
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【スーザン・ブラックモア】
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【マット・リドレー】
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【オーブリー・デグレイ】
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【レオナルド・サスキンド】
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【ジョージ・ダイソン】
4152093595

【デイヴィッド・イーグルマン】
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【カール・ジンマー】
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【グレゴリー・コクラン】
4822283992

【アルバート=ラズロ・バラバシ】
4140807431414081554X

【カール サバー】
4759814671431400973X