【千夜一夜物語】(14) 博学のタワッドドの物語(第270夜 – 第287夜)

前回、”「ほくろ」の物語”からの続きです。

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昔、バグダードに豪商がいたが、一人息子アブール・ハサンを残して死んだ。
アブール・ハサンは父の死後、財産を使い果たし、残ったのは美しい女奴隷タワッドドだけになった。

タワッドドはアブール・ハサンに、教王(カリーファ)ハールーン・アル・ラシードに自分を1万ディナール以上で売るように言った。
アブール・ハサンがタワッドドを教王の前に連れて行くと、タワッドドは自分の知識の優れていることを教王に言ったため、教王は一流の学者を集め、タワッドドの知識を試すことになった。

タワッドドは、コーランの読誦者、神学者、コーラン学者、医者、天文学者、哲学者、賢人イブラーヒーム・ベン・サイアルと順次、問答を行い、タワッドドは相手の問いには全て答えたが、相手はタワッドドの問いには答えられず、問答は全てタワッドドの勝ちとなった。
教王は喜び、1万ディナールを与え、タワッドドに後宮に入るか、アブール・ハサンの元に帰るかを聞くと、タワッドドは帰ることを希望したので、教王は許し、さらに5千ディナールを与え、2人は幸せに暮らした。

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次回は、詩人アブー・ヌワースの事件です。

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