遠野物語に見る原風景

柳田國男の遠野物語。
先日テレビで特集を行っていたこともあり、改めて読み返してみました。

河童、座敷わらし、雪女など、誰でも知っている妖怪や神様が登場する、本編119話、続く拾遺299話からなる説話集ですね!
岩手県遠野市を中心にして、この近辺は今も物語の息付く地域です。

・実際に妖怪を目撃した人から語り継がれ子孫に今も伝わる話し
・座敷わらしに見捨てられて本当に没落した一家の話し
など、あたかも昔とは思えないほどのリアルな神秘的世界が広がっています。
柳田國男が遠野物語を執筆したきっかけは、片思いし続けた少女との死別によるものとも言われていますが、死んだ人の魂はどこに行くのか、という疑問が、その変遷の原動力になったようです。

妖怪、神様への恐れは、そのまま自然への畏怖と親しみへと直結し、昔からの人々の生き方を律してきたもの。
そうした自然への畏敬も、今の時代だからこそ邂逅すべき貴重な想いなのかもしれません。
遠野物語に限らず、地域に古くから伝わる伝承や言い伝えは、時代の中で忘れ去られるのに任せるのではなく、しっかりと残していきたいものですね。

柳田國男版だとちょっと読みにくい、という方には、京極夏彦バージョンがお勧めです。
現代語訳にしているだけでなく、文体も読みやすく、また背景まで丁寧に掘り下げている内容になっているので読みやすいかもしれません。
秋の夜長に”遠野物語”の復刻でもいかがでしょう?

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