『書経』(尚書)は、政治史・政教を記した中国最古の歴史書で、堯舜から夏・殷・周の帝王の言行録(一部、春秋時代の諸侯、秦の穆公のものもあり)を整理した20巻、58編、25,700字から成る演説集です。
孔子が編纂したと言われており、儒教で基本経典とされる五経のひとつに挙げられています。
四書『大学』『中庸』『論語』『孟子』
・『論語』 – 孔子門弟(春秋・戦国)10巻20篇 11,705字
論語より学ぶ!人としての「徳」と「命」!
・『孟子』 – 孟軻(戦国)14巻7篇 34,685字
孟子より学ぶ!性善説と王道に基づくリーダーの心得!
『孟子』滕文公章句と「花燃ゆ」松陰が説く学ぶ意味について!
・『大学』 – 曾参(春秋)1巻6章 1,753字(『礼記』第42篇と重複)
大學(大学)より学ぶ!人を治める道の書!
・『中庸』 – 孔伋(春秋・戦国)1巻19章 3,568字(『礼記』第31篇と重複)
中庸より学ぶ!過ぎたるは猶及ばざるが如し!
五経『易経』
・『易経(周易)』 – 伏羲(神代)・周文王(周)・周公旦(周)・孔丘(春秋)2巻12篇64卦 24,107字
当たるも八卦、当たらぬも八卦 易経って何?
易経 実際に占う方法です
易経 実際に易を占ってみましょう。
易経 本来の在り方を知ることが大事です。
干支から見る、2014年甲午から2015年乙未の解明・啓示
その上で、書経です。
初め「書」、漢代に「尚書」、宋代になり朱子が「書経」と名づけたものですが、秦の焚書で散逸し、前漢の伏生の口伝「今文尚書」と、孔子の旧宅で壁中から発見された「古文尚書」との二系統があったものの、現在「古文」とされている58篇のテキスト「偽古文尚書」は東晋の梅賾によってその大半は偽作されたものといわれています。
が、それにも拘わらず朱子の学説の根本をなすべき語句が文中にあり、政治上の根本的な主題として、君主自身が自己の人格を修練して徳性を発揮することと、刑罰を与えることを慎重にすることとが説かれていることもあり、受容されて現代に至ります。
ちなみに、元号は四書五経の五経の字句から採用されることが多いようで、
・明治:『易経』の「聖人南面して天下に聴き、明にむかいて治むる」から
・大正:『易経』の「大いに享すに正を以てす、天の道なり」から
・昭和:『書経』の「百姓昭明なり、万邦を協和せしむ」から
・平成:『書経』の「地平らかに天成り、六府三事、允に治まる」と史記の「内平らかに外成る」から
採られています。
『書経』には良く見知った故事成語も多いので、幾つか代表的なものをピックアップしておきます。
・習い性と成る
習慣はやがて本来の性質のようになる。
・満は損を招く
おごり高ぶる者は損失を招く。
・一簣の功
最後の努力。最後の骨折り。 → 九仞
・教うるは学ぶの半ば
人に教え理解させることは,半分は自分にとっての勉強でもある。
・知ることの艱きにあらず、行うことこれ艱し
学ぶのは易しいが、実際に行動することは難しい。
・九仞の功を一簣に虧く
九仞の高い山を築くのに,最後の一杯の簣(もつこ)の土を欠いても完成しない。転じて,長い間の努力も終わりぎわのわずかな失敗一つで完成しない。
・人と与にするには備わらんことを求めず
人に完璧を求めてはならない。
・言を食む
前言をひるがえす。約束を破る。うそをつく。食言する。ことをはむ。
・細行を矜まざれば終に大徳を累わす
ささいなおこないを慎まないでいると,ついには大きな徳に影響を及ぼす。
・その能を矜れば、その功を喪う
能力をひけらかしていると、成功しない。
・高きに登るは必ず低きよりす
物事の進行には一定の順序があり,手近な所から始めねばならない。
・彝倫
人として常に守るべき道。人倫。
・範疇
同じ性質のものが属する部類。部門。領域。カテゴリー。
・洪範
天下を治める大法。
「書経周書」の編名。伝説では,禹が尭舜以来の思想を整理・集成したもので,殷の箕子を経て周の武王に伝えられたという。天の常道と治世の要道を九つの範疇によって示す。
・五福
人生の五つの幸福。長寿・富裕・健康と徳を好むこと,天命を全うすることの五つ。
・三正
〔書経 甘誓〕 天・地・人の正道。三才。
〔礼記 哀公問〕 三綱の道が正しく行われること。
・五常
儒教で,人の常に守るべき五つの徳目。
①仁・義・礼・智・信の五つ。
②「 五倫 」に同じ。
③〔書経 舜典〕 父は義,母は慈,兄は友,弟は恭,子は孝を守るべきものとすること。五典。
・天の作せる孼は猶違くべし、自ら作せる孼は逭るべからず
天災や自然災害などは避けることもできるが、自分自身が原因で発生した災いについては、逃れることができない、という意味の故事成語
【書経 目次】
[虞書(ぐしょ)] 5篇
├01 堯典(ぎょうてん)
├02 舜典(しゅんてん)
├03 大禹謨(たいうぼ)
├04 皋陶謨(こうようぼ)
└05 益稷(えきしょく)
[夏書(かしょ)] 4篇
├06 禹貢(うこう)
├07 甘誓(かんせい)
├08 五子之歌(ごししか)
└09 胤征(いんせい)
[商書(しょうしょ)] 17篇
├10 湯誓(とうせい)
├11 仲虺之誥(ちゅうきしこう)
├12 湯誥(とうこう)
├13 伊訓(いくん)
├14 太甲上(たいこう)
├15 太甲中(たいこう)
├16 太甲下(たいこう)
├17 咸有一徳(かんゆういっとく)
├18 盤庚上(ばんこう)
├19 盤庚中(ばんこう)
├20 盤庚下(ばんこう)
├21 説命上(えつめい)
├22 説命中(えつめい)
├23 説命下(えつめい)
├24 高宗肜日(こうそうゆうじつ)
├25 西伯戡黎(せいはくかんれい)
└26 微子(びし)
[周書(しゅうしょ)] 32篇
├27 泰誓上(たいせい)
├28 泰誓中(たいせい)
├29 泰誓下(たいせい)
├30 牧誓(ぼくせい)
├31 武成(ぶせい)
├32 洪範(こうはん)
├33 旅獒(りょごう)
├34 金滕(きんとう)
├35 大誥(たいこう)
├36 微子之命(びししめい)
├37 康誥(こうこう)
├38 酒誥(しゅこう)
├39 梓材(しざい)
├40 召誥(しょうこう)
├41 洛誥(らくこう)
├42 多士(たし)
├43 無逸(むいつ)
├44 君奭(くんせき)
├45 蔡仲之命(さいちゅうしめい)
├46 多方(たほう)
├47 立政(りっせい)
├48 周官(しゅうかん)
├49 君陳(くんちん)
├50 顧命(こめい)
├51 康王之誥(こうおうしこう)
├52 畢命(ひつめい)
├53 君牙(くんが)
├54 冏命(けいめい)
├55 呂刑(りょけい)
├56 文侯之命(ぶんこうしめい)
├57 費誓(ひせい)
└58 秦誓(しんせい)
【書経 原文と読みは、以下を参照ください】