【千夜一夜物語】(44)  処女の鏡の驚くべき物語(第720夜 – 第731夜)

前回、”寛仁大度とは何、世に処する道はいかにと論じ合うこと”からの続きです。

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昔バスラにゼインという名の若い帝王(スルターン)がいたが、浪費を続け財産を全て使い果たしてしまった。
先王が生前「困ったことがあったら文庫を探せ」と言っていたことを思い出し、文庫を探すと「宮殿の地下室の床を掘れ。」との書置きを見つけた。
地下室の床を掘ると、下へ続く階段が見つかり、降りると大量の財宝がある部屋に通じていた。
さらに秘密の扉を開けて進むと、7つの台座の上に6体のダイヤモンドの美しい乙女の像があり、7つ目の台座の上には先王の筆で「第7の乙女を得るにはカイロのムバラクという私の奴隷であった者を訪ねよ。」とあった。

ゼインは早速カイロに旅立ち、ムバラクを見つけ、第7の乙女を得るには「三つ島の老人」に会う必要があることを知った。
ゼインは案内を申し出たムバラクと従者を連れて出発し、何日も経てある草原に着き、そこより先はムバラクと2人だけで進む必要があることを知った。
さらに進むと切り立った山が現れたが、ムバラクが呪文を唱えると、山は割れて道ができ、2人が通ると再び山は塞がった。
さらに進むと大きな湖があり、待っていると、象の頭と人間の体を持つ船頭が現れ、船で三つ島まで運んでくれた。
三つ島には大きな宮殿があり、その前で平伏して待っていると、雷鳴とともに三つ島の老人が現れた。

ゼインが三つ島の老人に第7の乙女を求めに来たことを伝えると、老人は15歳の美しい処女と引き換えでないと第7の乙女は渡さないと言い、処女を見分けるための「処女の鏡」を渡した。
処女の鏡は、女性を映すと裸の姿が見え、処女でないと鏡が曇ってしまうというものであった。

カイロに帰った2人は、エジプト中の15歳の美しい女を調べるが、処女の鏡に映すといずれも処女ではなかった。
2人はダマスに行くが、やはり15歳の美しい処女は一人もいなかった。
2人はバグダードに行き、アブー・ベクルという名の修道僧を接待し、修道僧の長老の15歳の娘ラティファーがあらゆる男の視線を避けて育てられてきたことを知った。
2人は大きなベールで体を覆われたラティファーに会うが、処女の鏡に映すと、美しい全裸の姿が見え、処女であることが分かった。
ゼインはラティファーを得るため結婚を申し出、2人は結婚した。

ゼイン、ムバラク、ラティファーの3人は三つ島に向けて旅立つが、ゼインは本当にラティファーのことを恋しく思うようになってしまった。
ゼインは三つ島の老人に迷いながらラティファーを引き渡し、老人は第7の乙女は既に第7の台座の上に送ったと告げた。
ゼインは後悔しながらバスラの宮殿に戻ったが、第7の台座の上には裸のラティファーがいて、第7の乙女とはラティファーであったことを知った。
2人は再び結婚し幸せに暮らした。

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次回は、アラジンと魔法のランプの物語です。

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