当たるも八卦、当たらぬも八卦 易経って何?

易経は、易または周易ともいい、中国四千年に及ぶ”知恵の結晶”ともいわれる、儒教の基本経典とされる五経の経書のひとつです。
時代劇などで易者がでてきますが、筮竹を使ってジャラジャラ占っている元になっているのが、易経なんです。
易経は古代中国の占筮(細い竹を使用する占い)の書で、符号を用いて状態の変遷や変化の予測を体系化した古典です。
易経の中心思想は、陰陽二つの元素の対立と統合により、神羅万象の変化法則を説く古代中国の哲学と宇宙観の集大成であり、著者は伝説上の人物である伏羲とされています。
古代中国では大変に重要視され、天下を治める者や指導者となる者は必ずこれを修得し極めなければならないとされ、五大聖典「易経、詩経、書経、礼記、春秋経」の首座におかれました。
そもそも易経は、人の生きる道や天下国家を治める道、ひいては大宇宙と小宇宙を貫く道を説く宇宙論理の哲学書でもあり、単なる占いの範疇だけで括ると大きな誤解を呼びます。
天地の法則を説いている易経では”易簡”、”変易”、”不易”を論じています。
要は、
 易簡:知り易く従い易く簡単明瞭であること。
 変易:簡単は複雑の初めであって森羅万象で変化しないものはない。
 不易:変化の中にも不変の法則を見いだせる。
であり、森羅万象の変化の裏側には統一と調和が存在していることを示しています。
したがって易の考え方に沿って物事を探求すれば、必ず従うべき法則にたどり着けると言えるのです。

そもそも易は、二元両極の陰陽を顕わし、三元陰陽が交わって三本の算木を組み合わせ八卦が出来上がりました。

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それは、乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤(天・沢・火・雷・風・水・山・地)の八卦で、これらを組み合わせることにより易としての展開が始まったのです。
その後、八卦を二つずつ組み合わせることによって六十四卦が作られ、彖辞、爻辞ができました。
六十四卦は易経の上経に三十卦、下経に三十四卦が記載されており、各卦には固有の名前が付けられており、それを見ながら易断に入るのです。

八卦 卦名 和訓 自然 性情 季節 身体 方位 九星 五行 五行数 易数
Ken.png 乾(ケン) いぬい 10月11日 西北 六白 四と九
Kon.png 坤(コン) ひつじさる 7月8日 西南 二黒 五と十
Shin.png 震(シン) 3月 三碧 三と八
Xun.png 巽(ソン) たつみ 4月5日 東南 四緑 三と八
Kan.png 戡(カン) きた 12月 一白 一と六
Ri.png 離(リ) 6月 九紫 二と七
Gon.png 艮(ゴン) うしとら 1月2日 東北 八白 五と十
Da.png 兌(ダ) 9月 西 七赤 四と九

当たるも八卦、当たらぬも八卦というのも易から来ていますし、相撲の行司の「はっけよい」という掛け声の語源は「八卦良い」から来ている、とも言われます。

さて、ここからは易断を行う際の易の立て方についてです。
易の立て方には、色々な方法があり、古式に則った筮竹を使う方法から、サイコロやコインを使うものや、タロット風のイーチンタロットなど、いろいろなものが出ています。
元々は、古代中国の殷の時代、亀の甲羅を焼き吉凶を占ったのが始まりといわれていますのですが、まずはやりやすい方法で試してみてください。
ここでは、幾つかの方法を説明しておきます。

まずは古典的な筮竹を使った三遍筮法という方法です。
(とはいっても筮竹などを持っている人の方が珍しいので、何か箸など代替になるもので試してみてください)
三遍筮法は三変筮法ともいい、筮竹を三回(上卦、下卦、爻位)操作します。
最初に五十本の筮竹の中から一本を抜き取り、これを太極(自然万物の根本で陰陽変化の根元であり、生々発展して八卦を生むと考える一大元気)とします。
残り四十九本の筮竹を両手で二分し、右手に取った筮竹から一本抜き取ります。
次に左手につかんだ筮竹を、八払いしていきます。
春夏秋冬と各二本ずつ四度取り出してもよいし、一本二本三本と数えながら八本ずつ取り出してもよいですが、最後に八で割り切れない数が残ります。
それと右手から抜き取った一本を加えたものが、得られた卦の象数です。
 一本残った場合、乾(ケン)天
 二本残った場合、兌(ダ)沢
 三本残った場合、離(リ)火
 四本残った場合、震(シン)雷
 五本残った場合、巽(ソン)風
 六本残った場合、坎(カン)水
 七本残った場合、艮(ゴン)山
 八本残った場合、坤(コン)地
となります。これを上卦(外卦)とします。
この操作をもう一度、行なってこれを下卦(内卦)とします。これで大成卦(本卦)が得られました。
つぎに、爻位を得る操作です。
四十九本を左右に分け、右手の一本を抜き取り、左手の筮竹を六本ずつ(二本ずつ三度)数えていきます。
右手から抜いた一本を加えて
残りの数が一本なら初爻、二本なら二爻、三本なら三爻、四本なら四爻、五本なら五爻、残り六本なら上爻(一番上の爻)
となります。
こうして大成卦(上卦、下卦)と変爻(動爻)が得られたので、筮竹で得られた上卦・下卦を算木を使って示します。
算木には陽と陰のしるしがついているので、それを見ながら易断に入ります。

もうひとつ、コインを使った方法を2通り程紹介しておきます。

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○コイン3枚で占う方法(疑似中筮法)
100円玉を3枚用意し投げます。
3枚とも表ならば太陽、2枚が表ならば少陽、2枚が裏ならば少陰、3枚とも裏ならば太陰です。
太陽と太陰が出た場合は爻の横に印をつけておくようにします。
この作業を6回繰り返して大成卦を求めます。

○コイン6枚で占う方法(疑似略筮法)
コインを10円玉5枚、100円玉1枚用意し振ります。
振り終わったら手中のコィンをランダムに取り出し、必ず下から順に上に並べていきます。
コインの表は陽、裏は陰とし、100円玉は爻位とし、大成卦を求めます。
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