四天王天である帝釈天に仕える持国天・増長天・広目天・多聞天(毘沙門天)は、四天王※)と呼ばれ、それぞれが東・西・南・北の四方四洲を守護していますが、今回はそんな中から北方を守護する四天王中最強の神・多聞天に注目してみます。
※)全体的な整理を行っている”日本の仏像に魅せられて”や”自分を守ってくれる守護本尊!”、”アジアンユニット 招福七福神めぐり”も参考にしてください。
多聞天は毘沙門天とも呼ばれ、七福神の一神であり、二十八部衆でもあり、独立尊としても信仰を集める存在です。
夜叉、羅刹を眷属としていますが、その名の由来は仏の説法する場にいつもいて、多くの法を聞いているということに由来しています。
財宝を生み出す力を得る財宝授与の仏で、悪鬼を滅ぼす戦勝の神として崇められていますが、インド神話の財宝神クベーラを前身としており、ヴァイシュラヴァナという称号は本来「ヴィシュラヴァス (vizravas) 神の息子」という意味です。
中央アジアを経て中国に伝わる過程で、ヒマラヤの北方に位置するホータン地方でさかんな信仰を受けた毘沙門天は、古代西域地方の甲冑に身を固めた武神としての信仰が生まれ、四天王の一尊たる武神・守護神とされるようになりました。
日本に伝わり、御所を守る守護神として京の真北・鞍馬寺、信貴山の朝護孫子寺、足利尊氏の最勝寺が、毘沙門天信仰の三大霊場とされています。
また、国土守護の武神とされた毘沙門天は、以下のような武将達の信仰を集めました。
・不空三蔵:唐時代、不空三蔵の祈祷で現れた毘沙門天が敵軍を四散させた
・足利尊氏:勝ち運の神として毘沙門天を本尊とし崇拝した
・上杉謙信:守護神として深く信仰し、毘の一字を記した旗を持って戦に臨んだ
・楠木正成:両親が毘沙門天に祈って授かった子ということで、多聞丸の幼名を持つ
功徳は 仏教守護、開運出世、財宝金銭授与・商売繁盛・智慧明瞭などがあります。