今日(12月25日)は、キリスト降誕祭としてクリスマスが祝われる日です。
とはいっても、イエスの誕生日は『新約聖書』には記されていませんが、そこはご愛嬌。
クリスマスは、キリスト教やそうでない人にとっても特別で大切な日であることには確かなのですから。
キリスト誕生の日に輝いたベツレヘム星をイメージしながらクリスマスツリーに星を飾り、楽しいクリスマスをお過ごしください。
「キリストの降誕」は、ざっとこんな話しです。
”神の遣いの天使ガブリエルは、ナザレにあるガリラヤという町にやってきて、ヨセフの妻マリアに「あなたの胎内には子が宿っている」と告げた。
処女だったマリアは戸惑う。ガブリエルは「それは神の子です。男の子を身ごもっているので、生まれたらイエスと名付けなさい」と続けた。
驚いたのはヨセフのほうである。彼は怒ってマリアとの離婚を考えていたが、そんなある日不思議な夢を見た。
「恐れずマリアを迎え入れなさい、神の子を授かったのです。イエスと名付けなさい」というものであった。
その後、時のローマ皇帝アウグストスの命令で、この夫婦は住民登録のために本籍のあるベツレヘムに向かっていたが、その途中マリアは月満ちて馬小屋でキリストを出産した。
その地方では羊飼いが夜通し羊の群れの番をしていたが、彼らの前に突然天使があらわれ「いま、救世主がお生まれになった。馬小屋の飼い葉桶に寝ている」と告げた。
不思議がった羊飼いたちは確かめようとベツレヘムに向かい、夫婦とキリストを探し当て、すべて天使の言葉通りだったので神を崇めた。
そして8日たって割礼をすませた後、彼はイエスと名付けられた。”
来年(2015年)は未年ということもありますが、この羊飼いのくだりが今回は妙に気になる私です。
なぜ天使は、教会でなく羊飼いの前に現れたのか?
不思議な感じがしませんか?
※)未年に関しては、以下も参考にしてみてください。
・2015年は未年!羊と開運にまつわるエトセトラ。
そんな「キリストの降誕」も記されている新約聖書です。
キリストはゴルゴダの丘で磔刑となった後、3日後に復活します。
ここで注意すべきは、キリストの復活は輪廻転生とは意味合いを異とする点です。
東洋思想、主には仏教に起因する思想においては、輪廻転生という考え方が深く根付いています。
こうした輪廻と解脱の考え方は、もはや何にも生まれなくてすむようになることを願い、生存からの脱却を目指す訳です。
※)輪廻転生や解脱については、以前にも幾つか触れていますので、参考にしてみてください。
・往生と涅槃、解脱って何?
・三島由紀夫!豊饒の海に織り込められた人間の姿!
・浜松中納言物語の世界:平安時代から及ぶ輪廻転生の愛と魂!
一方、キリスト教の源であるユダヤ教にも輪廻転生の考え方があり、魂は肉体を変え得て、人は過ちを取り返し得るとあります。
しかし、AD4世紀にコンスタンチヌス帝によって、キリスト教がローマ帝国の国教となった時に、新約聖書にある輪廻転生の記述を削除し、AD6世紀に正式に輪廻転生を異端とした経緯があるそうです。
そのため、キリスト教は徹頭徹尾「生命」に固執し、本当の生命、充実した生命、永遠の生命といった、どこまでも生命を求めていく思想となりました。
キリスト教においては、世界や人間は創造されたもので、永遠の昔から存在していたわけではなく、世界にも人間にも始まりがあったと考えます。
また、現在の私たちの生も初めての生であって、「前世」があった訳ではなく、死後はまた別の動物とか他の人に生まれ変わるという輪廻転生説は信じません。
ですから与えられた生をとことん大切にし、復活してでも何でも永遠の命を求めるのです。
したがってキリスト教は、現在の生命に使命を与え、生存に愛と、清さと、躍動と、喜びと、永遠性を与えることを目指しているという思想であることが顕著にみてとれるのです。
また、新約聖書の中では特異にして唯一預言書的性格を持つ異端の書として傑出している「ヨハネの黙示録」も、歴史の中で多くの影響を与えてきています。
・悪魔の数字666!ヨハネの黙示録が現実になる?ネットの噂まとめ
・世界の終わり ヨハネの黙示録が描く終末
このように玉石混合でいろいろな話しがてんこ盛りの新約聖書。
イエス・キリストとその教えに従うものたちの書という観点だけでなく、西洋の思想に触れるきっかけの書のひとつとして、読み解いてみてはいかがでしょうか。
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