道教を理解してみる

道教は中国三大宗教のひとつで、漢民族の土着的・伝統的な宗教です。
三清や太公望、福禄寿や孫悟空など神話の神々を起源とし、後の世には三国志の英雄、関羽候なども含む、様々な神様が存在する多神教です。

道教の道は”首”が始まりを、しんにょうが終わりを示し、道が”太極は万物の根源でありここから陰陽の二元が生ずる”とする二元論的要素を表しています。
古来、儒教・仏教・道教の三教が各々補完し合って共存しているとするのが道教の思想でもあるのですが、中国本土や台湾、香港、東南アジアそれぞれでその重きが異なるので、各々が似ているようで若干異なる宗教倫理観で成り立っているようです。

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大別して、以下の2つの側面を持っています。
【神仙思想】
神や仙人の世界に到達することを目的としたものであり、特に不老不死の探求は漢方や気功とし、練丹術は原始化学として、火薬の発明に繋がりました。
”陰陽”、”八卦”の概念も神仙思想より生まれ、自然摂理や人の運命までも司るものとされ、”風水”、”占術”として現代にまで影響を与えています。

【老荘思想】
老子や荘子などの思想家が”道”を説いたものです。
そもそもが道の教えであり、従うべき聖人の教えという意味で、一般には儒学とも言われています。
”道”とは人智を超えた計り知れないものであり、知や欲を働かせる”人為”を無くし”無為”で”道”に従い生きることを説いています。
老荘思想を中心とした道教の世界観はTaoism(タオイズム)として、西洋でも根強い関心を集めています。
日本では平安時代に”風水””陰陽道”など、江戸時代は倫理道徳として捉えた”朱子学”を”武士道”に取りいれられたのがよく知られています。
※)”老子”や”荘子”、”朱子学”や”武士道”についても、いずれじっくりと整理してみたいと思います。

なお、日本における道教といえばこれまでも何度か説明をしてきた陰陽五行説があり、巧みな習合がなされ日本独自の発展を成しているものとして風水や陰陽道がありますね。

【風水】
風水といえば台湾や香港が有名ですが、陰陽五行説を応用し気の流れを物の位置で制御する思想です。
大別すると
・地形読破の術:巒頭(らんとう)
その土地の気の勢いや質を地形等の形成を目で見える有形のもので判断する方法。
・時間によって変化する天地間の気を判断:理気(りき)
陰陽五行思想や八卦、易理(易)、方位など目に見えないもので判断する方法。
となるのですが、日本ではこれらの一部の理論だけが陰陽道や家相学として取り入れられ、家相術や九星気学をアレンジした形で占いとして用いられている状況です。
例えば風水では、天円地方の思想のうち地方の部分が形骸化しており、地方を天円と同じく重く見る陰陽道とは異なっています。
しかし、この地方という考えは相撲における土俵などに四角の形をしたものとして現れていましたが、現在ではその特性が失われ、円になっているといった具合です。

日本の家相も風水だと思っている方が多いのですが、これも日本の気候風土に合わせ独自の家相学として発展したものですので、本来の風水とは考え方が根本的に異なります。
簡単にいえば、
風水は”場所の気、住む場所の良し悪し”を表し、
日本の家相は、屋外よりも”屋内の間取りや日当たりなど、家の機能の良し悪し”を表するもの
と捉えて頂ければよいかと思います。

【陰陽道】
平安時代の安倍晴明などで有名な陰陽師が、道術の要素を取り入れ、日本独自の陰陽道として発展させています。
自然界の陰陽と五行の変化を観察して瑞祥・災厄を判断し、人間界の吉凶を占う実用的技術として用いられてきました。
ですので、中国の占術・天文学の知識を元に、神道、道教、仏教などからも様々な影響を受け取っています。
青龍、白虎、朱雀、玄武で有名な四神相応も陰陽道の思想であり、沖縄の首里城、平城京・平安京・長岡京など古代の都の建設や神社の創建にも影響を与えています。
明治維新後に廃止され、今では二十四節気などの暦に名残をとどめるのみです。

陰陽道にもいろいろな神様がいるので、こちらもいずれ整理してみたいと思います。

【易】
易も道教に起源を持つ占術であり、日本でも古くから根付いています。
易については、こちらもご覧ください。

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