二十八部衆というのをご存知でしょうか。
東西南北と上下に各四部、北東・東南・北西・西南に各一部ずつが配されており、合計で二十八部衆となる千手観音の眷属でして、各々500人の部下を持つ、といわれています。
鎌倉時代に造られた、三十三間堂にある像などが有名ですよね。
一般には千手観音のお経「広大円満無礙大悲心陀羅尼神呪」(こうだいえんまんむげだいひしんだらにしんじゅ)を誦持する者を守護するといわれています。
今回は、そんな二十八部衆のひとり、五部浄居天(炎摩羅・閻魔)です。
仏法を守護する天龍八部衆の一尊で、色界最上位の色究竟天(色界第四禅天)に浄居天と呼ばれる5人の阿那含の聖者(自在天子、普華天子、遍音天子、光髪天子、意生天子)が住んでおり、五部浄居天はこれらを合わせて一尊としたものです。
身色は紫色、左手に炎摩幢、右手に女竿を持っています。
陀羅尼にすがる者を守護するとされ、今昔物語集では釈迦の四門出遊の際「老人、病人、死人、出家者」の4つを見せて釈迦の出家を促しています。
そもそもは、仏教が流布する以前の古代インドの鬼神、戦闘神、音楽神、動物神などが仏教に帰依し、護法善神となったものです。
炎摩羅とは閻魔で、仏教、ヒンドゥー教などでの地獄の主にして、冥界の王・総司として死者の生前の罪を裁く神ですが、日本仏教においては地蔵菩薩の化身とみなされ同一人物とされており、地獄と浄土を往来出来るとされます。
閻魔王の法廷には浄玻璃鏡という鏡が設置されていて、死者の生前の善悪の行為をのこらず映し出し、録と司命という地獄の書記官が左右に控え、閻魔王の業務を補佐しています。
そこで嘘をついた者は、地獄で閻魔に舌を引き抜かれる刑に処されるという俗説がありますが、なんとコンニャクが大好物であるというヘルシーな一面も持ち合わせています。
【二十八部衆】
・密迹金剛力士⇒ 金剛力士 ”二十八部衆・密迹金剛力士!宇宙の終わりを表す金剛力士として名高い吽形!”
・那羅延堅固王⇒ 那羅延天 ”二十八部衆・那羅延堅固王!那羅延天!宇宙の始まりを表す金剛力士として名高い阿形!”
・東方天⇒ 持国天 ”四天王・持国天!二十八部衆の東方天にして、国家安泰・家内安全の守護神!”東方を守護する。
・毘楼勒叉天⇒ 増長天 ”四天王・増長天!二十八部衆の毘楼勒叉天にして、無尽の宝を生み出す商売繁盛の仏!”南方を守護する。
・毘楼博叉天⇒ 広目天 ”四天王・広目天!二十八部衆の毘楼博叉天にして、無量の寿命を与える無病息災の仏!”西方を守護する。
諸々の龍を従え、浄天眼(千里眼)をもってこの世を観察し、仏の教えとそれを信じる者を護るといわれる。
右手に筆、左手に経典を持ち、邪鬼を踏みつけ、口を閉じ、はるか遠方を見渡す。
・毘沙門天⇒ 多聞天 ”四天王・多聞天!北方守護の最強の神・毘沙門天!”北方を守護する。
元々ヒンドゥー教の財宝の神であり、日本では七福神の一人として信仰を集めており、四天王の中でも中心的な地位を占める。
多聞天が単独でまつられる場合の呼び名が毘沙門天で、諸々の夜叉を率いて仏教の教えを多く聞いて精通しており、それを守護する。
右手を高く上げて宝塔を持ち、左手は金剛棒を持ち、口を閉じて、遠方を見つめ、邪鬼を踏みつける。
・梵天⇒ 帝釈天 ”四天王天・帝釈天!三主神たる梵天!”天を守護する。
原名をブラフマンといい、宇宙の原理を神格化したもので、帝釈天とともに天部の最高神である。
悟りを開いた釈迦を、人々に説法するように促したものである。
・帝釈天⇒ 梵天 ”四天王天・帝釈天!三主神たる梵天!”天を守護する。
仏教に取り入れられ、梵天と並んで仏教の二大護法神となった。
古代インドのヴェーダ神話の天界最強の軍神インドラが元とされ、インドラは二頭立ての黄金の戦車、または象に乗り金剛杵(ヴァジュラ)を使い毒龍ヴリトラと戦い、強力な阿修羅の軍を退けた。
仏教に帰依してからは釈迦修行時代の仏法の守護神となり、慈悲深く柔和な性質も持つようになる。
宇宙の中心とされる須弥山山頂の喜見城を居城にし、その周辺の「とう利天」を支配する。
初期の頃から梵天と一対で表されることが多く、また四天王とも共にあらわされる。
中国風の甲冑を身につけ、武器を持って忿怒の表情をして邪鬼を踏みつけているのが特徴である。
邪鬼を踏みつけるのは、四天王が仏教に対する邪悪なものを打ち負かすことを表現したもので、この邪鬼を一般的に天邪鬼と呼ぶ。
密教に取り入れられる以前は二臂の立像で、身に甲冑をつけた上から長袂衣をて、着柄香炉や唐扇をもつ。
また密教化されると一面三目二臂で独鈷杵、三鈷杵を持つ立像または白象に乗り半迦踏み下げとするものが主流になる。
密教では十二天の一人であり、千手観音の眷属である二十八部衆の一人でもある。
・毘婆迦羅王⇒ ドゥルガー ”二十八部衆・毘婆迦羅王!シヴァ神の神妃・ドゥルガーは近づき難い者!”
・五部浄居天⇒ 閻魔
・沙羯羅王⇒ 八大竜王
・阿修羅王⇒ 阿修羅 ”八部衆・阿修羅!帝釈天と戦い続ける戦闘神!”
インド古来の神で怒りや争い、戦いなどを好む鬼神だったが、帝釈天に負け仏教に帰依した。
天・龍・夜叉・乾闥婆・迦楼羅・緊那羅・摩侯羅迦と共に、仏教を守る八部衆である。
像の上へ差し上げた両手の左手は太陽、右手は月を掌に乗せており、肩の高さに上げた両手は、左手に弓、右手に矢を持つ。
・乾闥婆王⇒ 乾闥婆 ”八部衆・乾闥婆!阿修羅に敵対する半神半獣の奏楽神団!”
毘舎遮を眷属として国を支え持ち、大威徳があるといわれる。右手に剣、口を閉じた忿怒の表情で、邪鬼を踏みつける。
古代インドでは神々の飲料水である蘇摩酒の守護を役割としたが、仏教に取り入れられてからは、東方持国天の眷属となった。
また、帝釈天にも歌舞音曲をもって仕えた。
頭部に獅子冠をかぶり二臂の着甲姿で、左手に宝珠をのせ、右手に三叉戟の柄を握り、岩座に座して半跏踏下げる。
・迦楼羅王⇒ 迦楼羅 ”八部衆・迦楼羅!降魔、病除、延命をもたらす鳥頭人身有翼の神!”
インド神話上の巨鳥である霊鳥ガルーダが仏教に取り込まれ、千手観音の眷属となった。
ナーガ(蛇神)や龍を食すため、蛇の毒から守ってくれる聖なる鳥とされる。
鳥頭人身(人の体に、鷲の頭と嘴、翼と爪、脚)で、翼を広げると336万里もあるとされる。
・緊那羅王⇒ 緊那羅 ”八部衆・緊那羅!半人半馬の歌舞神!”
古代インドの楽神で、美しい歌声をもつ鳥が神格化されたもので、妙音を奏で、全ての衆生を感動させた神である。
仏教に取り入れられてからは、乾闥婆王とともに帝釈天または毘沙門天に仕える。
・摩侯羅王⇒ 摩侯羅 ”八部衆・摩睺羅伽!大蛇を神格化した音楽の神!”
緊那羅王とともに、帝釈天に仕える音楽神。
・金大王⇒ 夜叉 ”八部衆・夜叉!人の精気を喰らう鬼神・鳩槃荼!”
着甲姿で、右手に三鈷杵を持つ。
・満仙王⇒ 夜叉 ”八部衆・夜叉!人の精気を喰らう鬼神・鳩槃荼!”
着甲姿で、右手に独鈷を持ち、左手に三叉戟を持つ。
鳩槃荼(ぐばんだ)、薛茘多(へうれいた)を眷属とし、超人的な成長力をもって仏教を護るといわれる。
右手に長い棒を持ち、叫ぶように口を開け、邪鬼を踏みつけ、目を大きく見開き忿怒の表情をしている。
・金毘羅王⇒ 宮比羅
・満善車王⇒ 緊那羅 ”八部衆・緊那羅!半人半馬の歌舞神!”
・金色孔雀王⇒ 孔雀明王
・大弁功徳天⇒ 吉祥天/弁才天
・神母天⇒ 鬼子母神
・散脂大将⇒ パーンチカ
・難陀龍王⇒ 難陀竜王
・摩醯首羅王⇒ 大自在天
・婆藪仙人⇒ リシ
・摩和羅女⇒ 地天