This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(20) 時代物『寿曽我対面』

歌舞伎は世界に誇る、日本の伝統芸能です。
しかし、元々400年前に登場したときには、大衆を喜ばせるための一大エンターテイメントだったのです。
なんとなく難しそうなので、ということで敬遠されている方も多いのかもしれませんが、そもそもは庶民の娯楽だったもの。
一度観てみれば、華やかで心ときめく驚きと感動の世界が広がっているのです。
しかも歌舞伎は、単に400年もの間、ただただ伝統を受け継いできただけではありません。
時代に呼応して常に変化し、発展・進化してきているのです。

This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(4) 演目の分類と一覧について
前回は歌舞伎の演目をざっと整理してみましたので、ここからは具体的な演目の内容について触れてみましょう。
今回は、時代物の中から『寿曽我対面』です。

『寿曽我対面』は、鎌倉時代に源頼朝が行った富士の巻狩の際に御家人・工藤祐経が曾我十郎祐成・曾我五郎時致の兄弟に仇討ちされた事件を題材としており、『曽我物語』という物語によって一般に流布しました。
能や人形浄瑠璃で演じられ、やがて歌舞伎として演じられることで通称『曽我の対面』または単に『対面』と呼ばれ、庶民の支持を得ています。
江戸歌舞伎では、毎年正月に曽我兄弟の登場する作品を上演する慣習があり、兄弟が敵の工藤と対面する場面が必ず含まれていました。
座頭の工藤・和事の十郎・荒事の五郎・道化役の朝比奈・立女形の虎・若女形の少将・敵役の八幡・立役の近江・実事の鬼王と、歌舞伎の役どころがほとんど勢ぞろいし、視覚的にも音楽的にも様式美にあふれたとっても華やかな一幕ですが、さまざまな趣向によって繰り返し上演された『対面』の場面は、特に五郎の典型的な荒事として知られています。
ちなみに曽我兄弟の登場する作品は、総称して「曽我物」と呼ばれ、『寿曽我対面』は江戸の初春歌舞伎ではよく上演されていました。
というのも、荒人神として祀られた曽我兄弟の劇を、悪霊を払い、一年を安泰に過ごすためであったからだそうです。
そのため、『寿曽我対面』は日本三大仇討のひとつとして、現在でもたびたび上演されています。

『寿曽我対面』

ところは工藤祐経の屋敷。
このたび、主君の頼朝によって重用された、昇進祝い兼正月祝いが行われている。
主人の工藤祐経や大名たち、他に傾城たちもいて華やかな様子。
そこへ、小林朝比奈の妹・舞鶴が以前から工藤に面会を求めていた曽我兄弟を連れてやってくる。
所領を巡る争いのため、工藤に闇討ちされた曽我兄弟の父の死から18年が経っていた。

初めて工藤と顔を合わせた兄弟。
仇を前に血気にはやる弟・五郎とそれを押し留める兄・十郎。
工藤はこの二人が以前闇討ちした河津三郎に縁のものだと察し、そのときの様子を聞かせる。
ここで兄弟は「親の敵」とばかり名乗りを上げ、五郎は工藤を討とうとするが、十郎と舞鶴に「粗相のないように」と押しとどめられる。
その後舞鶴の勧めで工藤の杯を受ける。
十郎はおとなしく受けるが、五郎は無念さで杯を砕き、三宝までをも破壊する。

その様子を見ていた工藤。敵討ちよりも兄弟の養父・曽我太郎祐信が紛失した源氏の宝刀・友切丸を探し出すのが大事だと諭す。
そこへ友切丸が無事に手に入ったと知らせが届く。
工藤は、現在就いている、富士の裾野での巻狩りの総奉行の役目が終わったら、潔く討たれよう…と兄弟に年玉代わりに狩場の切手・通行手形を渡して、再会を約束する。

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