This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(4) 演目の分類と一覧について

歌舞伎は世界に誇る、日本の伝統芸能です。
しかし、元々400年前に登場したときには、大衆を喜ばせるための一大エンターテイメントだったのです。
なんとなく難しそうなので、ということで敬遠されている方も多いのかもしれませんが、そもそもは庶民の娯楽だったもの。
一度観てみれば、華やかで心ときめく驚きと感動の世界が広がっているのです。
しかも歌舞伎は、単に400年もの間、ただただ伝統を受け継いできただけではありません。
時代に呼応して常に変化し、発展・進化してきているのです。

This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(3) 演出について
前回までで、歌舞伎における最低限必要なお約束事を説明しておきましたので、今回からは具体的にその演目について注目してみましょう。

歌舞伎の演目は、切り口によってさまざまな分類の仕方があります。
また演目名も、通称と本外題とがあるのですが、演目の公演情報やチラシにも通称が大きく載り、本外題は小さく表記され読み仮名もないという状態ですので、混乱しがちではあります。
そこでこの整理の中では、演目を紹介しながら、そのあたりの分かりにくさも少しずつ解きほぐしていければ、と考えています。
ということで、まずは代表的な2つの切り口による分類を紹介します。

【作品内容による分類】

【時代物】
江戸時代よりも古い時代の武士や公家の世界を描いた作品をさします。
中には『仮名手本忠臣蔵』のように、江戸時代に起こった事件に取材した作品でも、それ以前の時代に置き換えて書かれた作品もあります。
これは幕府が、戦国時代後期以降の史実の劇化を禁止していたためです。
また平安時代以前に取材した作品は、特に「王朝物」または「王代物」とよばれる場合もあります。

【世話物】
江戸時代の町人の生活に取材した作品で、当時の現代劇をさします。
特に身分の低い庶民の生活をリアルに描いたものは「生世話」とよばれ、文化・文政年間[1804年~1830年]に活躍した4代目鶴屋南北の作品が有名です。

【所作事】
舞踊のことをさします。当初は女方の専門とされてきましたが、18世紀後半から立役も踊るようになってきました。
その後文化・文政年間には、いくつかの役を1人で踊り分ける「変化舞踊」とよばれる作品が流行しました。
また題材を切り口に「獅子物」・「松羽目物」・「道成寺物」などの作品群に分類することも可能です。

【作品成立の経緯による分類】

【義太夫狂言】
「丸本物」などともよばれ、人形浄瑠璃で初演され、後に歌舞伎化された作品をさします。
「竹本」の語りによって物語が進行し、音楽的・様式的な演技や演出が多い点に特徴があります。

【純歌舞伎】
「義太夫狂言」とは対照的に、もともと歌舞伎として上演されるために書かれた作品です。
4代目鶴屋南北や河竹黙阿弥など、狂言作者とよばれる歌舞伎専門の作者による作品が含まれます。

【新歌舞伎】
明治時代中期以降、狂言作者ではなく外部の文学者・作家によって書かれた作品のことをさします。
欧米の演劇や小説の影響を受けた作品が、近代的な演技・演出に基づいて上演されました。
また戦後に新たに書かれた作品は、「新作歌舞伎」として区別されるのが一般的です。

【代表的な演目一覧】

■『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』通称:『白浪五人男(しらなみごにんおとこ)』・『弁天小僧(べんてんこぞう)』
■『揚屋(あげや)』通称:→『碁太平記白石噺(ごたいへいきしろいしばなし)』
■『阿古屋(あこや)』通称:→『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』
■『荒川の佐吉(あらかわのさきち)』通称:→『江戸絵両国八景(えどえりょうごくはっけい)』
■『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』通称:→『鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)』
■『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』
■『色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)』通称:『かさね』
■『外郎売(ういろううり)』
■『奥州安達原(おうしゅうあだちがはら)』
■『岡崎(おかざき)』通称:→『伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)』
■『お染の七役(おそめのななやく)』通称:→『於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)』
■『御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)』通称:→『元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら)』
■『女殺油地獄(おんなごろしあぶらのぢごく)』
■『加賀鳶(かがとび)』通称:→『盲長屋梅加賀鳶(めくらながやうめがかがとび)』
■『かさね』通称:→『色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)』
■『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』
■『髪結新三(かみゆいしんざ)』通称:→『梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)』
■『河庄(かわしょう)』通称:→『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)』
■『川連法眼館(かわつらほうげんやかた)』通称:→『義経千本桜(よしつねせんぼんさくら)』
■『勧進帳(かんじんちょう)』
■『菊畑(きくばたけ)』通称:→『鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)』
■『祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)』
■『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』通称:『娘道成寺(むすめどうじょうじ)』
■『京人形(きょうにんぎょう)』
■『金閣寺(きんかくじ)』通称:→『祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)』
■『葛の葉(くずのは)』通称:→『芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)』
■『天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)』
■『車引(くるまびき)』通称:→『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』
■『廓文章(くるわぶんしょう)』通称:『吉田屋(よしだや)』
■『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』
■『毛谷村(けやむら)』通称:→『彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)』
■『恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい・こいのたよりやまとおうらい)』
■『河内山(こうちやま)』通称:→『天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)』
■『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』
■『寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)』通称:『曽我の対面(そがのたいめん)』
■『御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)』通称:→『曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)』
■『魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)』通称:→『新皿屋敷月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)』
■『逆艪(さかろ)』通称:→『ひらかな盛衰記(ひらかなせいすいき)』
■『鷺娘(さぎむすめ)』
■『桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)』
■『花街模様薊色縫(さともようあざみのいろぬい)』通称:『十六夜清心(いざよいせいしん)』
■『実盛物語(さねもりものがたり)』通称:→『源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)』
■『鞘当(さやあて)』通称:→『浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)』
■『三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつがい)』通称:『三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)』
■『四ノ切(しのきり)』通称:→『義経千本桜(よしつねせんぼんさくら)』
■『暫(しばらく)』
■『春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)』通称:『鏡獅子(かがみじし)』
■『白浪五人男(しらなみごにんおとこ)』通称:→『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』
■『新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)』
■『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』
■『助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)』通称:『助六(すけろく)』
■『鮨屋(すしや)』通称:→『義経千本桜(よしつねせんぼんさくら)』
■『角力場(すもうば)』通称:→『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』
■『関の扉(せきのと)』通称:→『積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)』
■『曽根崎心中(そねざきしんじゅう)』
■『対決・刃傷(たいけつ・にんじょう)』通称:→『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』
■『伊達の十役(だてのじゅうやく)』通称:→『慙紅葉汗顔見勢(はじもみじあせのかおみせ)』
■『縮屋新助(ちぢみやしんすけ)』通称:→『八幡祭小望月賑(はちまんまつりよみやのにぎわい)』
■『中将姫古跡の松(ちゅうじょうひめこせきのまつ)』通称:→『庚鳥山姫捨松(ひばりやまひめすてまつ)』
■『土蜘(つちぐも)』
■『積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)』通称:『関の扉(せきのと)』
■『梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)』通称:『髪結新三(かみゆいしんざ)』
■『寺子屋(てらこや)』通称:→『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)』
■『東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)』
■『藤十郎の恋(とうじゅうろうのこい)』
■『直侍(なおざむらい)』通称:→『天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)』
■『夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)』
■『鳴神(なるかみ)』
■『新口村(にのくちむら)』通称:→『恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)』
■『沼津(ぬまづ)』通称:→『伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)』
■『鼠小紋東君新形(ねずみこもんはるのしんがた)』
■『野崎村(のざきむら)』通称:→『新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)』
■『番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)』
■『引窓(ひきまど)』通称:→『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』
■『ひらかな盛衰記(ひらかなせいすいき)』
■『封印切(ふういんぎり)』通称:→『恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)』
■『藤娘(ふじむすめ)』
■『平家女護島(へいけにょごのしま)』通称:『俊寛(しゅんかん)』
■『弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)』通称:→『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』
■『法界坊(ほうかいぼう)』通称:→『隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)』
■『本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)』
■『将門(まさかど)』通称:→『忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)』
■『三笠山御殿(みかさやまごてん)』通称:→『妹背山女庭訓(いもせやまおんなていきん)』
■『道行旅路の花聟(みちゆきたびじのはなむこ)』通称:→『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』
■『道行旅路の嫁入(みちゆきたびじのよめいり)』通称:→『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』
■『道行初音旅(みちゆきはつねのたび)』通称:→『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』
■『処女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなのよこぐし)』
■『冥途の飛脚(めいどのひきゃく)』通称:→『恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)』
■『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』
■『め組の喧嘩(めぐみのけんか)』通称:→『神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)』
■『紅葉狩(もみじがり)』
■『盛綱陣屋(もりつなじんや)』通称:→『近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)』
■『櫓のお七(やぐらのおしち)』通称:→『伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)』
■『ヤマトタケル』
■『雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)』通称:→『天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)』
■『吉田屋(よしだや)』通称:→『廓文章(くるわぶんしょう)』
■『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』
■『吉野川(よしのがわ)』通称:→『妹背山女庭訓(いもせやまおんなていきん)』
■『吉野山(よしのやま)』通称:→『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』
■『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』通称:『切られ与三(きられよさ)』
■『らくだ』通称:→『眠駱駝物語(めむるがらくだものがたり)』
■『連獅子(れんじし)』
■『六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)』

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