算命術 十六元法事始め。

世界中にどれぐらいの占術があるかご存知ですか?
トランプ占いに始まり占星術まで、ゆうに3300種類を超えると言われているようです。
太古から、如何に自分の運勢や性格、未来について知りたがり、また探究してきたのかがわかる証拠だといえます。

中国の占星術だと四柱推命や奇門遁甲などが有名ですが、算命術はその中でももっとも合理的で精密な占術です。
いわゆる算命術では、ひとりの人の運勢を占うのに16通りの方法があるといわれています。
これを十六元法というのですが、算命術ではこれを全て使って、人をあらゆる方向から占っていくのです。
四柱推命はこの十六元法のうち天法と地法の2つのみ、奇門遁甲では八門法のみを使うだけですので、算命術がいかに立体的にかつ精密に運勢を判断できるかがおわかりになると思います。

ちなみに、一連の説明の中では、
・占いの技術という観点では”算命術”
・算命術のそもそもの原理となるものを”算命学”
とします。
今回は”算命術”の方ですね。

【算命術の歴史】
算命術の発祥は、陰陽五行思想および、運命予測の技術をまとめたとされる、中国春秋戦国時代の鬼谷子と言われています。
本名を王翻(おうく)、鬼谷という地にいらした大学者から”鬼谷子”と呼ばれたとのことです。
鬼谷子については、史記列伝の蘇秦列伝 第九の冒頭に「東、斉に師事して、鬼谷先生に習ふ」とあり、史記列伝の張儀列伝 第十の冒頭にも「かって蘇秦とともに鬼谷先生につかへて、術を学ぶ」とあります。
蘇秦と張儀は戦国時代の縦横家であり、張儀は秦の宰相となり、蘇秦は六国合従の宰相となった人ですね。
鬼谷子は”揣摩の法”という著書を残したことで知られており、この書物は古代中国人の自然観を元にした軍略の書です。
この自然観が算命術の原理になっていったようで、やがて蘇秦が完成した揣摩の術(人を意のままに操る)が算命術とされていたというのが通俗のようです。
算命術は、秦の始皇帝時代には宮廷外不出の秘伝とされ、王朝お抱えの占い師達によってのみ命脈を保たれる一子相伝の運命学であったようです。
漢代から隋唐の時代に至って、陰陽五行説は干支五行説として成熟していく中で、算命術は天文暦法を原理として発展しています。

では、そもそもなぜ鬼谷子は”揣摩の法”を書いたのでしょう?

時代は、鮮烈過酷な戦国時代。
そこで生きていくためには、敵を知り、敵軍の動きや動向を知ることが重要となってきます。
敵を知るには、自然界の動きを大局的に観察し、そこから相手の動きや性格、行動パターンなどを予測していかねばなりません。
このような予測をしていくことで敵の実体を把握し、どのような戦略・計略を立てていくかが戦乱の世を生き抜くには必須の条件であった訳です。
算命術が単なる占術ではなく軍略術であるといわれる由縁は、こういった時代背景にあったのです。

そもそも儒教や道教などの思想・哲学の根底になっているものは、古代中国人の”人の生き方として最善なのは、自然に逆らわずに自然のまま生きていくという考え方”からくる自然観です。
こうした自然観から、算命学は自然をあるがままに見つめることから始まっています。
自然はけっして静止することなく動いているもので、しかもその動きには一定の法則があります。
太陽・月・星だけでなく、春夏秋冬の季節を繰り返して、動物も植物も栄枯盛衰を繰り返していくというものです。
算命学は、こうした自然の変化を分類し如何に意味づけるかの学問です。
このため算命学には、すべての思想・哲学(儒教、道教、仏教)果ては漢方医学までが包含されています。
これを占いに応用したのが鬼谷子であり、今回整理しようとしているのはその鬼谷子算命術、自然法算命術となります。

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【鬼谷子算命術 十六元法】
算命術の膨大な技法と思想は十六の理論体系からなり、これを十六元法といいます。
いわば運命主体の占いの技法集合体であり、自然法算命術ともいわれるようです。
この技法を使うと、自分のみならず先祖三代、子孫三代まで占うことができるとされています。
ここでは、その十六の理論体系を整理してみます。

【第一元法 天法】(六十花甲子・二十八元法)
算命術十六元法の静体論の第一元法が天法です。
自然法といわれ、暦術等の自然界を分類したもので、陰陽五行、十干十二支、六十花甲子等、暦作成の原理理論を述べたものです。
陰陽五行十干十二支は以前に整理してありますので、参考にしてみてください。
六十花甲子は十干十二支の組み合わせによる六十干支の本義です。

【第二元法 地法】(旺相休囚死・守護神法)
算命術十六元法の陰占(十干十二支)を主体とした宿命分析が静体(宿命)論、第二元法、地法です。
陰占を主体として静体(宿命)を分析し、守護神法、位相法、旺相休囚死法、天中殺法、宿命の干支分類分析の理論と占技が含まれます。
守護神法:五行守護神、調和守護神、調候守護神、方位守護神、三神斉美守護神、十干救道、格法守護神などを使い分けて、忌み神を取るのが特徴。
位相法:陰占(目に見える現実の世界)である干支の融合・分離により行動とその想念を見る
旺相休囚死法:いろいろな星の組み合わせから、その人に起こる出来事を読みとるのが特徴。
天中殺法:生来の天中殺(生まれながらにもっているもの)、後天運天中殺(時間的な推移で巡ってくるもの)、宿命天中殺(天中殺の干支をもっているもの)があり、慎重に対処すれば人生の災いの半分は避けられるとしているのが特徴。
宿命の干支分類分析:自分に伴う星(伴星)を知ることで、本人の生き方と業を解決するのが特徴。

【第三元法 数理法】(力学法・円柱法)
算命術十六元法の静体(宿命)論、第三元法の数理法です。
数理法は、エネルギー計算を主とし、力学法(陰占のエネルギー分析)と円柱法(陽占のエネルギー分析)で構成されてます。
力学法:別名、数理気図法である。無意識のエネルギーを分類する。環境分析、本能分析、時代背景を知ることができる。
円柱法:別名、数理八門法である。有意識のエネルギーを分類する。現実の消化方法、役目、能力、願望を知ることができる。

【第四元法 4気図法】(平面法・立体法)
算命術十六元法の静体(宿命)論、人体図陽占を分類分析する占技が、第四元法の気図法です。。
気図法は別名天盤法といい、自然界の東西南北中央の五行配置図に宿命人体図陽占の五行を配置し、宿命を分類する理論、占技で、陽占の縦線、横線分類法、純濁法、二連変化法があります。
平面法:宿命人体図陽占のみを分類する占技である。
立体法:人体図宿命と大運、年運の陽占を重ねて分類する占技である。

【第五元法 八門法】(循環法・分類法)
第一元法から第四元法までを総合的に判断する理論で、算命術十六元法の静体(宿命)論、第五元法が八門法です。
八門法は、宿命人体図陽占の星を稼動させるための理論で以下のものがあります。
循環法:物事のきっかけを知る始星、人生の目的を知る終星、その理論がある。
八門法:主星の人生観を知る理論である。
固定法:人体図の場所を固定して生剋比で分析する理論である。
その他、人体図座法、座気原因論等を併用する。
分類法は星の強弱を知る占技の総論である。十大主星の動静法、三分法、数理法、位相法、旺相休囚死法、守護神法等を併用して静体(宿命)を総論し、分類する。数理気図法、数理八門法、五常現法、座望法、宇宙盤法で分類する。

※算命十六元法の一元法から五元法までを静体論ないしは陽法といいます。
運命の原因を陽とし、宿命を原因として陽と捉えるもので、宿命は変えることができない気として静体論・陽法としています。
静体論は、宿命を自然界に置き換えて分類分析する五種類の理論、法、占技なのです。

【第六元法 六親法】(霊法と代入法)
算命術十六元法の動体(宿命の人間関係)論、第六元法が六親法です。
算命術霊魂法占技であり、家系の流れにおける霊魂の影響を知る理論占技です。
霊魂を霊法、代入法によって、陰陽細かく分類(陽霊魂、陰霊魂、表霊魂、裏霊魂、実霊魂、虚霊魂)しています。
家族の誰が運命に最も影響を与えているかを知ることができる。
また、先祖の守護霊魂を捜して見えない霊魂の力による開運法を知ることができる。
自分を取り巻く家族の力関係、影響力を知ることができる。

【第七元法 八格法】(内法・外法)
算命術十六元法の動体(宿命の人間関係)論、第七元法が八格法です。
八格法は内法の子孫八格法と、外法の配偶者を取る占技です。
子孫八格法:兄弟の中で誰が成功する運命の持ち主かを知る占技である。
外法:結婚によって運命がどのように変化するかを知る理論である。配偶者の霊魂と自分の霊魂の力関係を、霊魂の数理法によって判定する。

【第八元法 天格法】(想定法)
算命術十六元法の動体(宿命の人間関係)、第八元法が天格法です。
別名円盤法ともいい、自分の運勢を取り巻く環境の力関係を知る法です。
天格法:環境(条件)における力関係を見る理論。家族や一族の成功者、失敗者が、本人の運命にどのように影響しているかを知る理論。宿命の星を使わず、現象のみを見て予測する。

【第九元法 地格法】(想定法)
地格合法、三歳作りの法ともいい、自分自身の内側の力を知る法で、算命術十六元法の動体(宿命の人間関係)論、第九元法が地格法です。
地格法は、自分自身の内側の力の現れ方を知る法です。
地格法:大運と年運の五柱法を使い、天盤法、人盤法、地盤法の天地人三歳の人体図を作り、毎年の人体図の動き、人間関係の現れ方、現象を知る占技である。

【第十元法 三重法】(中国北部での呼称)
別名、双龍法(中国の南部での呼称)ともいい、算命術十六元法の動体(宿命の人間関係)論、第十元法が三重法です。
第六元法から第九元法までをまとめたものが第十元法です。
三重法:霊法や代入法の基になっている六親法を立体五行論に拠ってまとめ上げた技法(理論)。日干の五行の流れ、六親法による先祖から子孫に至る霊魂の流れ、各代の家系の成功者を見る占技の総まとめ。初代、創業者の宿命から判別していく占技である。

※)六親法から三重法までを動体論ないしは陰法といいます。
動体論は、宿命に影響する縁としての人間関係を分析する理論、占技でして、父、母、兄弟姉妹、配偶者、子供、本人自身と家族の関わり、家族の人間関係の中で変化する運命を分析し、現実有形の影響を知る理論です。

【第十一元法 転回法】
算命術十六元法の変化法、第十一元法が転回法です。
転回法は、宿命を論じ、現世ばかりでなく、先祖、子孫、前世、来世まで論じる。そのための想定法として因縁法、定則法、運型法という想定法が理論の裏づけとなります。
日運、月運、年運、大運、100年運、千年運という考え方。会社の運、国家の運、民族の運、一族の子孫運、時柱干支占技解釈法を使う。

【第十二元法 飛竜法】
別名青龍法といい、算命術十六元法の変化法、第十二元法が飛龍法です。
運勢が突然変化する時期の判定に使う占技で、運の表と裏を見る法です。
飛龍法:本人の意志と関係なく運命が変化する時期を見る占技である。宿命と大運の干合、大運暗合干支、大運との関係での完全格、破(再建)格入格条件による運命の変化、高次元位相法、大運天中殺、虚気(駆け上がり)大運天中殺等による大きな運命の変化時期を知る法である。

【第十三元法 三段法】
算命術十六元法の変化法、第十三元法が三段法です。
三段法は、運命を改良する占技で、三段階の手順を追って開運させる法です。
三段法:守護神大半会、宿命と環境の一致、宿命と後天運の合法位相法占技、虚気大運天中殺の駆け上がりの陽転稼動法、守護神開運占技、大運運気グラフ作成、運命陽転法の総論である。

※)転回法から三段法までを変化論といいます。
運命が突然変化したり、飛躍する時期判別の理論で、無から有を生み出し、ゼロから無限に拡大する運について論じた占技、法です。

【第十四元法 太陰法】
算命術十六元法の第十四元法が太陰法です。
第一元法から第十三元法までの占いを女性を中心に占う法で、女性の運命の見方および、三命図式法の作り方を論じています。

【第十五元法 太易法】
算命術十六元法の第十五元法が太易法です。
第一元法から第十三元法までの占いを男性を中心に占う法で、男性の運命の見方および、三命図式法の作り方を論じています。

【第十六元法 三命図式法】
算命術十六元法の第十六元法が三命図式法です。
第一元法から第十五元法までを図式化(算命図式)して運命を総合的に判定する技法です。

※)太陰法から三命法までで総論、帰結論となります。

【第十七元法 六律帰結】
最後に六律帰結となりますが、算命図式を簡略化したものが六律帰結であり、大きく6つに分類されています。

【陰律】(宿命の分析)
陰律の背景として家系の流れと性格分析をする占術です。
その人間が生まれてきた家系の土壌を見る法が陰律であり、その人間がその家に生まれてきたことが陽作用として働くか、陰作用として働くか、そのときの開運、活用法を判別するものです。
また、家系の恩徳を受けているか否かも判別し、生まれた家系で成長するなかで守護神が稼動しやすいか否かを判定します。

【陰律―家系の帰結】
家系の判別を行う占術です。
家系の変化時期決定、本人及び両親の進気退気法判定を行います。

【陰律―性格の帰結】
初年、中年、晩年期の性格判定を行う占術です。

【陰律―守護神の帰結】
宿命の環境の分析を行う占術です。
どのような環境で守護神を輝かすことができるかの判別、どのような環境で先祖の恩徳が得られるかの判別を行います。

【陽律】(運命の分析)
陽律は、陰律(宿命)を土台に後天運を見る占術です。

【陽律―右律】
環境判別を行い、一生涯の家族の人間関係、力関係の流れを見、数理気図法による大運の流れを見る占術です。

【陽律―左律】
社会現象判別を行い、一生涯の社会現象の流れを見る占術です。
人間の社会的活動を福禄寿官印で表すのが特徴です。
福:幸せの度合い、精神の安定の度合い、心の安定の度合い。
禄:財運、物質運。
寿:健康運、長生きの度合い。
官:社会的名誉、評価。
印:知恵、悟り、理解力の度合い。

【陽律―本律】
心理現象(心身の状態)判別を行い、一生涯の運の流れを見る占術です。
大運干支によってその流れの判定を行います。

次回からは、十六元法それぞれを少しずつ細かくまとめていきます。

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