【八方】
八方とは、五行に基づくもので、大地を中心に地上では東西南北の四方向があり、同様に天にも四方向、つまり天と地合わせて八方向が存在するという考え方です。
八方は、中心に位置する大地が重要な役割を果たしており、さらに各方向を十二支で表します。
ちなみに易では、八卦を用いた以下の八方向による方位が用いられています。
ちなみに仏教における八神将や十二神将は、すべて八方の考え方に基づいており、方向を人格化したものとなります。
八神将や十二神将については、追って整理したいと思います。
【十干】
陰陽五行説では、
木性は大きな樹木(陽)と小さな草木(陰)に
火性は太陽と灯火に、太陽は陽、灯火は陰に
土性は山岳と田園に、
金性は鉄鉱と宝石類に、
水性は海と湖に
分けられます。
このようにして、自然界を十種に分類し、それらに符号をつける必要から生まれたのが「十干」(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)です。
ちなみに仏教においては、人は十の世界に囲まれているという「十方世界」の考え方を生み出し、数学の分野では十進法が生まれる契機になっているのです。
以下に示すように、最初は単なる符号であった十干が、さまざまな意味合いを持つものに成長しているのです。
五行:十干:自然物:特徴
木性:甲(陽):樹木:直
木性:乙(陰):草木:曲
火性:丙(陽):太陽:明暖
火性:丁(陰):灯火:孤明
土性:戊(陽):山岳:不動
土性:己(陰):田園:広平
金性:庚(陽):鉄鉱:鋭剛
金性:辛(陰):宝石:柔鋭
水性:壬(陽):海潮:流動
水性:癸(陰):雨露:暗流
【十二支】
陰陽五行説では、時間が経過していく方向をさらに細かく区分するため、天空の観念を二つに区分しています。
一つは、風が吹き寒暖を感じることのできる地上に近い天空(近天空:陰)、もう一つは恒星や惑星などがきらめく遠くの天空(遠天空:陽)です。
そこから遠天空と近天空の二つの五行説を上下に重ねて、全天空の方向を十二基点で表す符号として使われたのが、「十二支」(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)となります。
天と地を結ぶ部分には、四つの中心が存在し、
地上の中心(丑)
天と地の境目(未)
天の中心(戌)
神の世界へつながる天上(辰)
と、地上の四方向(子、卯、午、酉)と天の四方向(亥、寅、巳、申)を加えると全部で十二基点となるわけです。
そもそも十二支は、人間に身近な動物名によって「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥、子」となっていますが、日本での亥は古代中国では「ぶた」であったり、インドでは象が登場するなど、その地域の日常生活に密着している動物が配されているのです。
なお、中心軸の頂点に十二支の中で唯一架空の動物である辰を配してあるのは、その場所が最も神に近く、辰が天空と地上を行き来できる龍を表しているためといわれています。
[amazonjs asin=”4916217934″ locale=”JP” title=”現代方位術大全”]