ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』より学ぶ!今の時代にこそその哲学の真髄を読み解こう!

ワーグナー(音楽家)
ニーチェ(哲学者)
ウィトゲンシュタイン(哲学者)
アインシュタイン(ノーベル物理学賞)
シュレディンガー(ノーベル物理学賞)
フロイト(精神科医)
ユング(精神科医)
トルストイ(文学者)
トーマスマン(ノーベル文学賞)
森鴎外(文学者)
西田幾多郎(哲学者)
ヒトラー(政治家)
イーロン・マスク(起業家)

これらの人物に共通していることといえば。



そう、いずれもドイツの哲学者・アルトゥル・ショーペンハウアー(Arthur Schopenhauer)に影響を受けているということです。
読破し、理解するのに相応の知識や経験、年月が必要な書物というものがありますが、ドイツ観念論を批判的に継承したショーペンハウアーの哲学が凝縮されているといっても過言ではない『意志と表象としての世界』もまさにそういった一冊です。

ショーペンハウアーの哲学は唯心論つまり「表象としての世界」であり、その世界を「意志としての世界」とも表現しており、最終的に世界は唯一つの盲目な大いなる意志であると結論付けています。
「意志」といっても、個人や自我に備わる理性的な意志や神の意志などでは決してなく、主体を持たない無意識的な「生への盲目的な意志」。
この盲目的な意志は、あらゆる生命現象と物理現象の背後で働いているものの、盲目的であるために何の根拠も目的もなく、しかも無際限であるため、人の欲求は決して満たされることがなく、その生は苦悩に満ちるしかないという論理です。
そうした苦悩から解放されるためには、果たしてどうすれば良いのかということについて、3つの観点から考察を行っています。

まずは音楽や芸術。
とりわけその最高形態である音楽について、苦悩からの解脱は一時的で、恒久的な解脱とはなりえず、苦悩からの解脱を完全にもたらすものではないと結論付けています。
次に同情や共苦。
同情とは、他者のなかに自分自身と同じ苦悩を見出して共有し、他者を理解しようとすることであり、それによって、他者への純粋な愛が生まれるものの、苦悩からの解脱という点では、まだ不充分であると結論付けています。
そして最後に禁欲。
禁欲とは、生への意志そのものを否定することで、意志が欲望として盲目的に作用するということを哲学的に把握すれば、意志とその表象である世界は消え去り、この世界への執着もなくなり、苦悩から完全に解脱することができる。
ショーペンハウアーは、仏教における「諦念」と同義とも取れる「禁欲」によってこそ、苦悩から解放されると結論付けているのです。
こうした非常に極端とも取れるショーペンハウアーの哲学は、「ペシミズム」(厭世主義)と呼ばれ、ニーチェへ大きな影響を与えるとともに、「実存主義」や「生の哲学」の先駆となったと言われています。

意志と表象としての世界 要約

ショーペンハウアーは、「幸せ」は何によるかということについても触れています。
「幸福がわれわれのあり方すなわち個性によってはなはだしく左右されることが明らかである。
 ところが大抵は、われわれの運命すなわちわれわれの有するもの、
 あるいはわれわれの印象の与え方ばかりを計算に入れている。」

要は、「幸せ」は人のあり方によるか、人の有するものによるか、人の印象の与え方によるかということです。
そのため、人は3つの根本規定に帰着させられると言っています。

1.人のあり方
 最も広い意味での人品、人柄、人物。
 このなかには健康、力、美、気質、道徳的性格、知性ならびにその完成が含まれている。
2.人の有するもの
 あらゆる意味での所有物。
3.人の印象の与え方
 他人の抱く印象に映じた人のあり方である。
 その帰するところは人に対する他人の思惑であり、名誉と位階と名声とに分けられる。

幸せには容易には得られないものもあるが、容易に得られるものもあり、自分がすでに持っているものを幸せだと思える人には容易である反面、それを幸せと思えない人も多く、そういうことは至難のことだとさえ思ってしまう人もいます。
こうしたとき、人は幸せを外に求めるのか、幸せを内に求めるのか。
ショーペンハウアーは2つのアプローチを提示します。
「幸せになるために、現実を変えるか、自分・心・考え方を変えるかである。
 どちらも大事だが、幸せを感じられるかどうかは心次第。」

幸せは心の状態であり、心の中にしかないと説くショーペンハウアーに、あなたは一体何を見出すでしょうか。

これ以外にも
・主観と客観
・陰気と陽気
・苦痛と退屈
・不幸でない幸せ
・知恵と勇気
という対極の命題に対して、自問自答し、その本質を解き明かしていきますが、
・人柄のもつ絶対的な価値を信じること
・自分自身にとっていちばん大事なこと
・足るを知ること
・汝自身を知ること
・現在・過去・未来を生き分けること
・反省を重ねること
・持っているものの価値を知ること
・自分を活かす活動をすること
を結論付けた上でショーペンハウアーが真に求めたもの。
それは人としての理想的な生き方とは何か、についてでした。

「世界は生きるに値するものなのか。
 苦しみに満ちた世界で人間が生きる意味はなんなのか。
 苦しみはなぜこの世界の本質なのか。
 なぜ人間は苦しみを生み出すのか。
 人間はなぜ生きなければいけないのか。
 どうやって生きていくべきなのか。」
という命題に対して出した結論は、
「自らの中に現象する意志の存在に気づき、それを肯定するか否定するか選択せよ」
ということです。

さあ、『意志と表象としての世界』をどこまで読み解くことができるか、ガッツリと取り込んでみてはいかがでしょうか、

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