This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(35) 新歌舞伎『番町皿屋敷』

歌舞伎は世界に誇る、日本の伝統芸能です。
しかし、元々400年前に登場したときには、大衆を喜ばせるための一大エンターテイメントだったのです。
なんとなく難しそうなので、ということで敬遠されている方も多いのかもしれませんが、そもそもは庶民の娯楽だったもの。
一度観てみれば、華やかで心ときめく驚きと感動の世界が広がっているのです。
しかも歌舞伎は、単に400年もの間、ただただ伝統を受け継いできただけではありません。
時代に呼応して常に変化し、発展・進化してきているのです。

This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(4) 演目の分類と一覧について
前回は歌舞伎の演目をざっと整理してみましたので、ここからは具体的な演目の内容について触れてみましょう。
今回は、新歌舞伎の中から『番町皿屋敷』です。

『番町皿屋敷』は、1916年(大正5年)大正ロマンの時代に初演された岡本綺堂作の「新歌舞伎」の代表作の1つです。
町奴との喧嘩に明け暮れる旗本の青山播磨は、相思相愛の腰元のお菊が家宝の皿を割ることで、自分の愛情を試したことを知ります。
「潔白な男のまことを疑うた、女の罪は重いと知れ」
疑われたことを恥じた播磨は、お菊を切り殺して井戸に投げ捨てるというストーリーです。
歌舞伎には、元々『播州皿屋敷』という怪談劇がありますが、この作品には、青山鉄山がお菊という腰元を吊るし切りにして、井戸に投げ捨てるという場面があります。
『番町皿屋敷』は、この作品の趣向を生かした上で、近代的な恋愛をテーマとして書き替えた点に特徴があります。

『番町皿屋敷』

【山王の桜】

牛込御門内五番町にかつて「吉田屋敷」と呼ばれる屋敷があり、これが赤坂に移転して空き地になった跡に千姫の御殿が造られたという。
それも空き地になった後、その一角に火付盗賊改・青山播磨守主膳の屋敷があった。
ここに菊という下女が奉公していた。
山の手第一の桜の名所山王神社。花見に遊ぶ白柄組の旗本青山播磨は、町奴の放駒と喧嘩になるところを、来あわせた伯母真弓にとめられる。
血気盛んな旗本も「伯母様は苦手じゃ」とにが笑い、「散る花にも風情があるのう」と行く春を惜しむ景色が、大正ロマンを色濃く漂わせる。

【家重代の高麗皿】

播磨は腰元お菊と相愛の仲で他から妻を迎える気持ちはない。
が、播磨の縁談の噂に日々心を痛めるお菊は、割れば手討の掟のある家宝の皿一枚を割って播磨の心を確かめようとする。
過失としてお菊の罪を許す播磨だった。
しかし、お菊がわざと皿を割っているのを、おなじ腰元のお仙が見ており、そのことが用人から播磨の耳に入った。
事の真相を知り、真心を疑われた無念さから、播磨はお菊を手討にし井戸に投げ込む。
播磨の本心を知ったお菊は満足して死んでゆく。
生涯一度の恋を失い、自暴自棄となった播磨は白柄組の統領水野十郎左衛門と町奴との喧嘩の加勢にと槍を手に屋敷を飛びだしていく。

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