私達の日常を取り巻く文字の中で、普段あまり使われることがなくなってきた漢字も数多あります。
しかし、こうした漢字の中には非常に美しいものや、はっと気づかされる意外なものがあります。
手書きで文字を書く習慣もますます少なくなってきていますが、普段使用頻度の低い漢字を顧みることで、新たな再発見をして欲しい。
そんな思いで、何回かに渡って美しい漢字を整理してみたいと思います。
ふとした折にこれらの漢字を使って、センスの良さをアピールしてみる、なんてのもいかがですか。
今回は、前回、前々回、前々々回に引き続き文化にこだわってみたいと思います。
【相舞】あいまい
・能・狂言で、二人以上が同じ型で一緒に舞うこと。
【赤頭】あかがしら
・能で,天狗・神霊・悪鬼・妖怪・猩猩・獅子などに用いる。長い赤毛の頭。歌舞伎でも鬘として使う。
【悪尉】あくじょう
・能面での 強く恐ろしい雰囲気の老人。悪とは強いとか存在の大きなという意味。
【悪婆】あくば
・ 歌舞伎の役柄の一つで、悪事を働く中年女の役。毒婦の性格をもつ。
【荒事】あらごと
・歌舞伎で、武士や鬼神などの荒々しさを誇張して演じること。また、その演出様式やそれを演じる狂言。
【出雲阿国】いずものおくに
・安土桃山時代の女性芸能者。ややこ踊りを基にしたかぶき踊りを創始し、ここから様々な変遷を得て、現在の歌舞伎が出来上がっている。
【入事】いれごと
・ 糸に乗る三味線音楽のリズムに合致させてせりふを述べる〈語り〉の表現技巧。
【紅入】いろいり
・女性役の使う能装束で,紅系の色を使ったもの。「熊野」や「求塚」のシテのような若い女に用いる。
【外郎売】ういろううり
・歌舞伎十八番の一つ。 「外郎」というのはのどの薬のことで、この売人に化けた曽我五郎が仇の工藤祐経に近づくという筋。
【謡】うたい
・能の声楽のこと。
【嫐】うわなり
・ 歌舞伎十八番の一つ。 1699年初世市川団十郎が初演。 一人の男に二人の女が嫉妬でからむ所作で,後妻(うわなり)打ちの風習を劇化したもの。
【燕手】えんで
・歌舞伎のかつらで、月代(さかやき)の毛がツバメの翼のように、髷(まげ)の両脇へ突出したもの。
【横笛】おうてき
・雅楽に用いる笛の一つで、龍笛(竜笛)、能管、篠笛など日本古といった来の横笛は「おうてき」「ようじょう」と呼ぶ。
【鸚鵡】おうむ
・歌舞伎で、主要な役が引っ込みのときなどに、派手なしぐさをしたり、利きぜりふを言ったあと、三枚目役が、そのとおりのまねをして観客を笑わせる演出。
【小忌衣】おみごろも
・大嘗祭・新嘗祭などに,小忌の官人・舞人などが装束の上に着る狩衣に似た衣
【花車方】かしゃがた
・歌舞伎で、年増・老女に扮する女方。また、その役柄。
【鞨鼓】かっこ
・雅楽で使われる打楽器で、鼓の一種。 奏者の正面に横向きに置き、先端を団栗状にしてある桴を使って左右両面を打つ。
【鬘】かづら
・日本で行われた古代の髪飾り。
【勧進帳】かんじんちょう
・歌舞伎演目のひとつ。歌舞伎十八番のひとつ。また、長唄曲名のひとつ。 江戸時代は初代市川團十郎が初演した「星合十二段」にはじまる荒事風演出が主だった。
【柝】き
・拍子木を打ち合わせて「ちょん」と音を出すこと。
【黒衣】くろご
・ 歌舞伎の舞台進行,演技の介添えをする役。
【見所】けんしょ
・能楽堂の観客席。舞台の正面,向って左側の橋懸りの前の脇正面,両者の間の中正面の順に分けられる。
【口跡】こうせき
・言葉づかい。口のきき方。特に,歌舞伎の役者の声色や台詞の言い回し。
【高麗笛】こまぶえ
・雅楽で使う管楽器のひとつ。吹き物。高麗楽と、国風歌舞の内の東遊で使われる。
【胡飲酒】こんじゅ
・雅楽の舞曲。林邑楽系の唐楽。壱越調で古楽の小曲。
【催馬楽】さいばら
・平安時代に隆盛した古代歌謡。元来存在した各地の民謡・風俗歌に外来楽器の伴奏を加えた形式の歌謡である。
【笏拍子】しゃくびょうし
・雅楽などにおける打楽器の一つ。国風歌舞、催馬楽に用いられる。
【曲見】しゃくみ
・能面の一。額と顎とが突き出し,顔面の中央部が幾分しゃくれた女面。
【笙】しょう
・雅楽などで使う管楽器の1つ。 雅楽で用いられる笙は、その形を翼を立てて休んでいる鳳凰に見立てられ、鳳笙とも呼ばれる。
【定式幕】じょうしきまく
・ 歌舞伎の引き幕に用いられる正式の幕。現在では萌黄,柿,黒の木綿の布を右から順に縦にはぎ合せてある。
【生締】なまじめ
・ 歌舞伎の鬘の一種で、髷を油で棒状に固めたもの。
【奈落】ならく
・劇場の舞台や花道の床下にあるスペースのこと。
【直面】ひためん
・能で、役者が面をつけずに素顔のままでいること。
【篳篥】ひちりき
・雅楽や、雅楽の流れを汲む近代に作られた神楽などで使う管楽器の1つ。吹き物。
【一幕見】ひとまくみ
・ 劇場で、数幕上演しているうちの一幕だけを見ること。
【附子】ぶす
・毒を題材とした狂言の演目の一つ。筋書きが簡潔で、オチも室町時代という時代背景への依存度が低いため、古文の教科書の常連である。
【幕間】まくあい
・演劇で,一つの場面が終わって次の場面が始まるまでの,舞台に幕が引かれている間。また,一つの芝居が終わって別の芝居へ移る間。
【櫓】やぐら
・江戸時代の劇場正面に高く設けられた炬燵 (こたつ) 櫓のような構造物。興行の官許の印として劇場に設けられた
【八多羅滅多羅】やたらめったら
・夜多羅、八多良は、雅楽の拍子を表す言葉の一つ。めちゃくちゃになってしまうこと。
【呂律】ろれつ
・ものを言う調子。ことばの調子。