This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(33) 舞踊『身替座禅』

歌舞伎は世界に誇る、日本の伝統芸能です。
しかし、元々400年前に登場したときには、大衆を喜ばせるための一大エンターテイメントだったのです。
なんとなく難しそうなので、ということで敬遠されている方も多いのかもしれませんが、そもそもは庶民の娯楽だったもの。
一度観てみれば、華やかで心ときめく驚きと感動の世界が広がっているのです。
しかも歌舞伎は、単に400年もの間、ただただ伝統を受け継いできただけではありません。
時代に呼応して常に変化し、発展・進化してきているのです。

This is ” KABUKI ” ( ノ゚Д゚) もっと歌舞伎を楽しもう!(4) 演目の分類と一覧について
前回は歌舞伎の演目をざっと整理してみましたので、ここからは具体的な演目の内容について触れてみましょう。
今回は、舞踊の中から『身替座禅』です。

『身替座禅』とは、能・狂言の秘曲『花子』を原作とした、松羽目物の歌舞伎舞踊曲です。
「松羽目もの」というのは能や狂言由来の作品を指し、能舞台風にしつらえた一面白木の羽目板の床の後ろに、能舞台を模して大きい松の木の絵が描いてあるセットの様子から、「松羽目もの」と呼ばれます。

洋の東西や老若男女を問わないわかりやすいストーリーで、巡業や海外公演でもよく上演される演目で、初演以降、七代目坂東三津五郎と六代目尾上菊五郎のコンビが好評で再演を繰り返し、尾上菊五郎家の新古演劇十種に加えられてきました。
作者の岡村柿紅は明治~大正期に活躍した劇作家・劇評家で、狂言を歌舞伎舞踊に移した作品を多く残しましたが、『身替座禅』はその第一作となります。
内容は、男の浮気を女房にしっかりと押さえられてしまうというお話となっています。

『身替座禅』

【花子からの手紙】

さるお屋敷の旦那様山蔭右京のもとに、旅先で懇意になった遊女花子が逢いたいと文をよこした。
右京は飛び立つ思いだが、ここにひとつ、大きな問題があった。
右京には情の深すぎる玉の井という奥方がいるのだ。
奥方は旦那様を熱愛するあまり、片時もそばを離れようとしない。
そこで、右京は一計を案じ、近頃夢見が悪いので各地の仏閣に詣でて修行がしたいと言い出した。
しかし奥方は一年も二年もかかる修行の旅などとんでもないと断固反対。
侍女の千枝(ちえだ)と小枝(さえだ)の提案で、やっとお屋敷内の持仏堂で一晩だけ籠って座禅するだけならいいということで、ようやく一晩だけ、奥方からの自由を得る。

【替え玉】

わずか一晩だが、奥方の目から逃れて花子に逢えるなら、と右京は有頂天。
しかし油断はならない。
右京は腹心の太郎冠者を呼び、持仏堂に自分の身替りになって坐っているように命じる。
座禅中は女人禁制だから絶対のぞくなと言ってあるが、万一のぞきに来られてもばれないように、太郎冠者に座禅衾をすっぽりかぶせ、右京はウキウキと花子のもとへ出かけていく。
座禅衾は夜通し座禅するときに使う夜具だ。

【身がわり交代】

身替りに座らされている太郎冠者は気が気でない。
案の定、お茶とお菓子を用意して奥方が様子を見にやってきた。
無理やり化けの皮ならぬ衾を剥がされて正体がばれた太郎冠者は平謝り。
怒り心頭の奥方は太郎冠者に代わって座禅衾をかぶり、右京を待ち受けることにする。

【うっかり惚気もわる口も】

そうとは露とも知らぬ右京、明け方になってほろ酔い気分でご帰館。
座っているのは太郎冠者だと思い込んだまま、花子との楽しい一夜をあれもこれもとたっぷりのろけまくり、揚句に花子に聞かせた奥方の悪口まで口にする。
さて、右京が衾を取ってみると、そこには奥方玉の井が。。。。
激怒した奥方玉の井は、手を合わせて謝りながら逃げる右京に掴みかかり、追回し・・・幕切れとなります。

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