【千夜一夜物語】(34) モースルのイスハークの冬の一夜(第549夜 – 第551夜)

前回、”「柘榴の花」と「月の微笑」の物語”からの続きです。

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ある冬の嵐の夜、モースルの歌手イスハークが家で美しい乙女サイーダのことを想っていると、嵐の中サイーダが訪ねて来た。
家の中に招き入れると、サイーダが「乞食の歌が聞きたい」と言った。
表を見ると丁度盲人の乞食がいたので、盲人なら女とのことを見られないだろうと思い、家の中に招き入れた。
乞食は主人がまず歌うべきだと言い、歌の名人イスハークに歌わせたが、「完全な歌手までもう少しだ。
」と言った。
次にサイーダに歌わせたが、乞食は途中で歌を遮り、「まだまだだ」と言った。
乞食が歌うと、イスハークも脱帽する上手さであったが、サイーダとイスハークの愛撫を見ているかのような歌詞だったので、イスハークは立腹した。
乞食は「手洗いに行きたい」と言って部屋を出ると消えてしまった。
イスハークが振り返るとサイーダも消えていた。
悪魔が見せた幻だったのであろうか。

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次回は、エジプトの百姓とその色白き子供たちです。

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