天部に位置し仏法を守護する護法善神の八部衆には、天衆、龍衆、夜叉衆、乾闥婆衆、阿修羅衆、迦楼羅衆、緊那羅衆、摩睺羅伽衆がいますが、今回はそんな中から古代インドの戦闘神・阿修羅に注目してみます。
※)八部衆は八部鬼衆と間違われやすいですが、違いは八部鬼衆が四天王の配下とされる点です。
※)全体的な整理を行っている”日本の仏像に魅せられて”や”自分を守ってくれる守護本尊!”、”アジアンユニット 招福七福神めぐり”も参考にしてください。
阿修羅(修羅)は、大乗仏教時代に、その闘争的な性格から五趣の人と畜生の間に追加され、六道の一つである阿修羅道(修羅道)の主となっています。
本来は単一の神の呼称でなく阿修羅神族(アスラ神族)という種族であり、インド神話における「アスラ」という名の魔神であり、インドラ神と戦いを繰り広げた鬼神であり、五大明王の一人である降三世明王、自身の血液から無尽蔵に分身を作りだし自己再生自己増殖をするラクタヴィージャ、インドラ(帝釈天)の妻となったシャチーなど様々な起源を持ちます。
その後仏教に取り入れられ、二十八部衆にして、仏法を守護する八神である天龍八部衆のひとつとなり、その姿は一般的に3つの顔に6本の腕を持つ三面六臂で表されています。
本来サンスクリットで「asu」が「命」、「ra」が「与える」という意味で善神だったとされますが、「a」が否定の接頭語となり、「sura」が「天」を意味することから、非天、非類などと訳され、帝釈天の台頭に伴いヒンドゥー教で悪者としてのイメージが定着し、地位を格下げされたと考えられています。