【千夜一夜物語】(50) 巧みな諧謔と愉しい頓智の集い(第794夜 – 第806夜)

前回、”運命の鍵”からの続きです。

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【減らない草履】

昔、カイロにアブー・カシム・エル・タンブリというケチで有名な薬種商がいたが、彼の草履は度を越えたつぎはぎだらけで、カイロの町中の人は草履のつぎはぎのひどさを知っていた。
ある日、アブー・カシムが浴場(ハンマーム)に行き風呂から出ると、自分の草履がなくなっていて、代わりに美しい黄色いスリッパがあったので、誰かがはき間違えたと思い、そのスリッパを履いて帰ったが、アブー・カシムの草履は、そのあまりの汚さと臭さのため下足番が隔離していたもので、黄色いスリッパは法官(カーディー)のものであった。
風呂から出た法官は、自分のスリッパがないことに怒り、残された草履のつぎはぎからアブー・カシムに違いないと思い、アブー・カシムを捕らえ、黄色いスリッパを取り返した。
アブー・カシムは多額の金を払い、なんとか牢から出してもらった。

アブー・カシムは、損をしたのは草履のせいだと考え、草履をナイル河に捨てたが、草履は漁師の網にかかり、網を傷つけた。
漁師たちは草履のつぎはぎからアブー・カシムの草履に違いないと思い、アブー・カシムに草履を返し、網の修理代を払わせた。

アブー・カシムは、次に草履を田舎の運河に捨てたが、草履が運河の水車に絡んで水車を壊し、水車の主は草履のつぎはぎからアブー・カシムの草履に違いないと思い、アブー・カシムに草履を返し、水車の修理代を払わせた。

アブー・カシムが草履の処分に困っていると、近所の犬が草履を咥えて走り去ったが、その草履が犬の口から外れて飛んで行き、老婆に当たり、老婆は死んでしまった。
老婆の家族は草履のつぎはぎからアブー・カシムの草履に違いないと思い、アブー・カシムに草履を返し、老婆の血の代償を払わせた。

アブー・カシムは法官の前に行き、草履の所有権を放棄すると宣言した。
それを見た法官も証人たちも大笑いした。

【アル・ラシードの道化役バハルル】

昔、教王(カリーファ)ハールーン・アル・ラシードには「賢人バハルル」という道化役がいた。

ある日、教王がバハルルに「バグダードにいる馬鹿者の一覧表を作れ」と命じたところ、バハルルは「利口者の一覧表ならすぐできるので、それ以外は全員馬鹿者です。」と答えた。

またある日、バハルルは教王の玉座にふざけて座ったため、罰として棍棒で打たれたが、「少し座っただけでこんなに打たれるのなら、いつも座っている教王はどれほどの罰を受けるのであろう。」と言った。

また、バハルルは結婚を嫌がり独身であったが、ある日、教王が美しい乙女とむりやり結婚させた。
結婚初夜、バハルルは寝室を飛び出し、宮殿内を大声を上げて走り回った。
教王が呼び止め理由を聞くと、「新妻の胸から、着物が欲しい、ヴェールが欲しい、上着が欲しいといった諸々の声が聞こえてきたので、恐怖のあまり走り回ったのです。」と答えた。

またある日、バハルルは教王が差し出した1000ディナールを辞退した。
教王がその理由を聞くと、片足を曲げ、片足を伸ばして教王の御前に座っていたバハルルは、「その金をもらうと両足を伸ばして座ることができなくなるから。
」と答えた。

またある日、教王が非常に喉を渇かして水を所望したとき、バハルルは一杯の水を差し出して、「この一杯の水にどれほどの価値がありましょうか。」と聞いた。
教王は「領土の半分の価値がある。」と答えた。
バハルルは「小水を出したくなったとき、小水を出す権利にはどれほどの価値がありましょうか。」と聞いた。
教王は「領土の残り半分の価値がある。」と答えた。
バハルルは「領土の価値は、たったそれだけでしょうか。」と言った。

【世界平和への誘い】

昔、ある農場に「暁の声」という雄鶏がいた。
ある日、「暁の声」が村の中を歩いていると、狐と出会ったので、細い塀の上に飛び乗った。
その塀は細すぎて狐には登れなかった。
狐は「百獣の王ライオンと百鳥の王ワシの話し合いで、動物同士殺しあうことは止めることに決まったので、塀から降りて来てください。」と言った。
「暁の声」が、「猟犬が走って来るのが遠くに見える。」と言うと、狐は恐れて逃げ出した。
「暁の声」が「動物同士殺しあうのは止めることになったんじゃないのかい。」と聞いたが、狐は逃げていった。

【不能のお呪い(おまじない)】

昔、ある帝王の所に一人の農夫が野菜や果物の初物を献上に来た。
帝王と後宮の女たちが食べてみると、真に美味しく、帝王は200ディナール、女たちは100ディナールの褒美を農夫に与え、さらに帝王は農夫を夕食に招いた。
夕食の楽しい時を過ごし、帝王は農夫に面白い話を所望したところ、農夫は明日の晩に話すことを約束し、その日は宮殿に泊まることになり、部屋と美しい処女の乙女を与えられた。

農夫と乙女は部屋に入ったが、農夫の物はどうしても立たず、乙女はお呪いをすることにした。
香を焚き、農夫の物を死体を水で清めるように水で清め、モスリンの布で死者を包むように包み、宮殿の女奴隷たちを呼んで葬式の真似事をしたが効果はなかった。

翌日、女奴隷たちから話を聞いていた帝王は農夫と乙女を呼び出し、昨晩あったことを話させた。
乙女が何があったか話すと、帝王は大笑し、農夫にもう一度同じ話をさせ、今度は涙を流して大笑いした。

その後、農夫は昨日約束した面白い話「二人のハシーシュ食らいの物語」を帝王にした。
喜んだ帝王は農夫を総理大臣にし、一同は幸せに暮らした。

【二人のハシーシュ食らいの物語】

昔、ハシーシュ好きの漁師がいた。
ある晩、漁師がハシーシュを噛んでいると、街中の道が川に見えて来て、早速釣竿を取り出し釣りを始めた。
すると、野良犬が餌に食いつき、釣竿を引っ張ったため、漁師は魚が食いついたと勘違いし釣り上げようとしたが、犬の力は強く、引っ張られて道に転んでしまった。
漁師は川に落ちたと思い、大声で助けを求めた。
近所の人たちが出てきて、騒いでいるハシーシュ飲みを捕まえ、安眠妨害で法官(カーディー)に突き出した。

法官は実はハシーシュが大好きだったので、突き出された漁師をその日は休ませ、翌日夕食を共にし、2人でハシーシュを飲んだ。
2人は素っ裸になって踊りだし、大騒ぎした。
ちょうど、その晩、帝王が大臣を連れて街中を歩いていたが、大騒ぎの音を聞いて、法官の屋敷にやって来た。
法官と漁師の2人は馬鹿騒ぎを続け、漁師は帝王に小便を掛けようとするなどしたため、帝王は帰ってしまった。

翌朝、帝王は法官と漁師を召しだした。
法官は平身低頭であったが、漁師は悪びれるところもなく、帝王の求めに応じ「法官「屁の父」の物語」「法官の驢馬の話」を話した。
帝王は喜び、ハシーシュ好きの漁師を侍従長に任命した。
漁師は続けて「法官と仔驢馬の話」「抜け目のない法官の話」「女道楽の達人の教えの話」を話した。
帝王はさらに喜び、ハシーシュ好きの漁師を総理大臣に任命した。

そこに訴訟が持ち込まれ、総理大臣になったハシーシュ好きの漁師は「ハシーシュ食らいの判決」を下した。

【法官「屁の父」の物語】

教王(カリーファ)ハールーン・アル・ラシードの時代のシリアのトラブルズの町にケチで有名な法官(カーディー)がいた。
ある日、裁判を有利にはからってもらおうとした人が、法官に嫁を世話した。
法官はケチだったので、披露宴もなく、食事は1日1回で、玉葱1個とパン1切れであった。
嫁は耐えられず、3日で離縁になった。
しばらくして、また法官は別の乙女と結婚したが、やはりケチに耐えられず3日で離縁になった。
このようなことが続き、町中、法官と結婚しようという女はいなくなった。

ある日、法官が町の外を歩いていると、モースルから来たと言う美しい女と出会った。
その女は法官と結婚し、玉葱1個とパン1切れの食事にも文句を言わなかった。
しかし、翌日、法官が仕事に行き家を留守にすると、女は家の中を探し、法官の金庫を見つけ、金庫の隙間からモチ付の棒を入れ、中の金貨を何枚か取った。
女はその金貨で豪華な料理を買ってきて、召使の黒人女とおいしく食べた。
法官が家に帰ると、女は「近くに住む親戚から、お祝いの料理をもらった」と法官に言い、法官にも料理の残りを食べさせた。
それから毎日、女は法官の金庫から金貨を盗み、それで豪華な料理を買い、法官には「もらったものだ」と説明していた。

ある日、女は法官のために蚕豆、えんどう豆、白いんげん、キャベツ、レンズ豆、玉葱、にんにくなどのごった煮を作った。
それを食べた法官は、腹にガスがたまり、妊婦のような腹になった。
女は、「全能のアラーが、男を妊娠させた」と騒ぎ、法官が大きなおならをすると、近所で生まれたばかりの赤ん坊を取り出し、「赤ん坊が生まれた」と法官に言った。

法官は、困惑し、「お釜を掘られて妊娠した」などと言われることを恐れ、妻子を家に残し、ほとぼりが冷めるまでダマスに隠れることにした。
しかし、法官の噂は、尾ひれが付いてダマスまで広がっていた。
数年して、法官がトラブルズに帰って見ると、子供たちが「屁の父」の話をしており、法官のことが忘れられていないことを知った。
法官が子供に詳しく聞くと、あの女は、法官に離縁された乙女たちの復讐をするために法官に近づいたものであって、子供が生まれたというのは、嘘であったということを始めて知った。
愕然とした法官が家に行って見ると、家は廃屋になっており、誰もおらず、金庫もなくなっていた。

【法官の驢馬】

昔、エジプトに、ある徴税請負人がいたが、留守勝ちだったので妻は若い情夫を持っていた。
ある日、情夫が妻の所にきてどうしても300ドラクム金が必要だと言い、金がないと分かると、金の代わりに驢馬を連れて行った。
徴税請負人は驢馬がいなくなったことに気付き、妻に問いただすと、妻は「あの驢馬は、実は魔法で驢馬にされた法官(カーディー)で、今一時的に魔法が解けたので町へ行って裁判をしているが、また驢馬になって戻って来るだろう」と言った。
徴税請負人はすぐに驢馬が必要だったので、町へ行って法官に話しかけて驢馬に戻るよう言ったが、法官は徴税請負人を気違いだと思い、300ドラクムを与えて新しい驢馬を買うように言って厄介払いした。
徴税請負人が市場で驢馬を見ていると、自分の驢馬が見つかったが、これを買ってまた法官に戻ったら大変だと思い、別の驢馬を買って帰った。

【法官と仔驢馬】

昔、ある町に年老いた法官(カーディー)がいたが、彼は親子ほど年の離れた若く美しい乙女と結婚した。
また、法官には若い助手がいたが、ある日、法官の妻と法官の家で顔をあわせ、互いに一目ぼれしてしまい、密会を重ねるようになった。

ある朝、法官は仕事に出かけたが、途中で気分が悪くなって家に帰り、部屋を真っ暗にして寝込んでしまった。
法官の妻は法官が寝ている間に浴場(ハンマーム)に出かけた。
そこに法官の助手がやってきて、部屋で寝ているのは法官の妻だろうと思い布団の中に手を入れたところ、法官が目を覚まし、助手を捕まえ、布団(マトラー)を入れる箱の中に入れて鍵を掛けた。
しかし、部屋が真っ暗だったので、侵入者が誰だったかは見ていなかった。

法官は妻が浮気していたのか、単なる侵入者だったのか知る必要があると思い、急いで浴場に行き、女湯に入る客に妻が早く出てくるように言伝を頼み、外で待っていた。
浴場の中の法官の妻は言伝から異常を感じ取り、丁度浴場でエジプト豆を売っていた女に金を渡して商売道具と服とベールを借り、豆売りに変装して、夫の法官に気付かれずに浴場を出て家に帰った。
法官の妻は布団箱から助手を出して逃がし、代わりに子驢馬を入れて鍵を閉め、浴場に戻り、今度は変装せずに出てきた。
法官は妻を見つけると手を掴んで家まで引っ張っていった。

家に帰ると法官は証人を呼び集め、布団箱の鍵を開けた。
すると、子驢馬が出てきたので、証人たちはあきれてしまい、法官は恥をかかされたことで怒り、怒りのあまり死んでしまった。
法官の死後、法官の妻と助手は結婚し、幸せに暮らした。

【抜け目のない法官】

昔、カイロに法官(カーディー)がいたが、不正を働いたため罷免された。
元法官は法律知識を使って儲けようと思い、黒人奴隷に事件を起こすように言って町に行かせた。
黒人奴隷は、ある男が町の公共竃屋に鵞鳥を焼いてもらうため預けたのを見て、鵞鳥が焼けた頃、その鵞鳥は自分の物だと言って竃屋から受け取った。
そして、もし鵞鳥を預けた男が来たら、「鵞鳥が生き返って飛んで行った」と言うよう竃屋に言った。
黒人奴隷は鵞鳥の肉を元法官の所に持って行き、2人で食べてしまった。

鵞鳥を預けた男が竃屋の所に鵞鳥を受け取りに来ると、竃屋の主人は「鵞鳥が生き返って飛んで行った」と言ったので、男は怒り、殴り合いの喧嘩になったが、ちょうど通りかかった妊婦にぶつかり、妊婦は流産してしまった。
妊婦の親族たちは怒り、竃屋を追いかけ、竃屋は高い建物に逃げ込んだが、追い詰められて露台から落ち、下にいたマグリブ人にぶつかり、マグリブ人を殺してしまった。
人々は竃屋の主人を捕まえ、法官がまだ罷免されたことを知らなかったので、黒人奴隷の案内で、元法官の屋敷に竃屋を連れて行った。

法官は裁判を行い、鵞鳥を預けた男に対し、アラーは死者を生き返らせると聖典にあるのに、鵞鳥が生き返ることを信じないのは不信心だと述べ、男の訴えを退けた。
次に流産した妊婦の親族に対し、妊婦が妊娠6か月だったことから、流産した妊婦を竃屋に預け、妊娠6か月にして返すことで償わせると判決したので、妊婦の親族は訴えを取り下げた。
死んだマグリブ人の親族に対し、復讐として高い塔から竃屋の上に飛び降り竃屋を殺せと判決したので、マグリブ人の親族は訴えを取り下げた。

法官の機智に富んだ判決の話は広まり、帝王の耳に達し、帝王は法官の罷免を取り消した。

【女道楽の達人の教え】

昔、カイロにマハムードという独身の若い男がいた、彼には2歳年上のアフマドという妻子のある友人がいた。
あるとき、マハムードがアフマドに女と付き合う方法を聞いた。
アフマドは、「明日のムレド・エル・ナビーのお祭りで、小さな子供連れの若い母親を見つけ、母親には話さず、子供に話しかけたり、あやしたりすれば良い。
」と答えた。
マハムードは言われたように子供をあやし、子供を肩に乗せ女の家まで送り、夜を明かした。
しかし、その女は偶然にもアフマドの妻であったが、マハムードはアフマドの家も妻の顔も知らなかったので、そうとは気付いていなかった。

ある日、アフマドが隣の家にいると、自分の家にマハムードが入って行くのが見えた。
アフマドは驚き、気付かれずに家に帰るため、隣の家の井戸を降り、地下を通り自分の家の井戸まで行き、這い上がろうとしたが、丁度自分の家の召使の女が井戸を覗き込み、井戸の底にアフマドの影を見つけて鬼神(イフリート)だと思って大声を出し、桶を落としたので、桶がアフマドの頭に当たり、怪我をしてしまった。
アフマドは大声で助けを求めたので引き上げられたが、その間にマハムードは帰ってしまった。

何日かして、アフマドが家の外にいると、マハムードがアフマドの家に入るのが見えたので、アフマドは戸を叩き、妻が戸を開くと、妻の手を引いて寝室に入って行ったがマハムードは見つからなかった。
実はマハムードは戸の裏側にいて、アフマドが寝室に行く間に逃げていたのであった。

また何日かして、アフマドの妻の父が年を取ってから設けた子供の割礼のお祝いがあり、アフマドはマハムードを連れて出席した。
お祝いの余興で、面白い話をすることになり、アフマドはマハムードにムレド・エル・ナビーのお祭りの夜の話をするように促した。
マハムードが話を始めると、女の描写からアフマドの妻のことだと出席者全員が感じ、険悪な雰囲気になったが、子供叫ぶような声がすると、マハムードは話の筋を変え、子供を肩に乗せ家まで行ったが戸口で追い返されたという話にした。
その場の険悪な雰囲気は消えた。
後で、アフマドがマハムードに、なぜ話の筋を変えたかを聞くと、マハムードは、子供の叫び声からその子がいることが分かり、当然母もいるから話の筋を変えたと答えた。
アフマドは落胆し、妻を離縁しメッカに巡礼の旅に出た。
マハムードは、法定の期間の後、アフマドの元妻と結婚し幸せに暮らした。

【ハシーシュ食らいの判決】

昔、子牛と子馬をめぐる裁判があり、一方は「牝牛の子は子牛で、牝馬の子は子馬で、子牛を取った牝馬の主は子牛を牝牛の主に返せ」と訴え、もう一方は「牝牛の子は子馬で、牝馬の子は子牛で、牝馬の主は子牛を牝牛の主に返す必要はない」と訴えた。
牝馬が子牛を生むのかという問いに対し、牝馬の主は、アラーは全能だと答えた。

総理大臣になったハシーシュ好きの漁師は、牝馬の主に対し、ハツカネズミの上に、大きな小麦粉の袋を乗せるように言った。
牝馬の主が無理だと言うと、総理大臣は、アラーは全能であり、無理だとは不信仰であるとして、牝馬の主を敗訴させ、子牛と牝馬と子馬を全て牝牛の主に与えた。

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次回は、ヌレンナハール姫と美しい魔女の物語です。

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