日本語って本当に素晴らしいと思えるのが、様々な機微や心情、そこから見える景色や風景を、それぞれの情感と共に言葉として美しく言い表せているところです。
最近ではなかなか使うこともなくなってきている言葉ばかりではありますが、例えば風を表す言葉ひとつとっても、ホント素敵だなあ、という気持ちにさせてくれます。
ということで、前回※)に引き続き冬にちなんだ風の言葉を集めてみました。
※)美しき秋の風を表す言葉!改めて日本語の素晴らしさの再発見を!
”美しき夏の風を表す言葉!改めて日本語の素晴らしさの再発見を!”
”美しき春の風を表す言葉!日本語の素晴らしさの再発見を!”
立冬も過ぎていることから、暦の上では万物が終わり蔵う、寒さの厳しい冬の季節です。
そんな季節の中、風にちなんだ、美しくキラキラと輝く風の言葉を使い続けていきたいものですね。
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空風(からっかぜ)
冬型の気圧配置が強いときに、日本の脊梁山脈を越えて吹き下りてくる、冷たくて乾いた、しかも強い風のことです。
関東平野、東海地方で使われることが多い言葉で、上州では名物の一つに数えられています。
乾風・涸風(からっかぜ)とも書きます。
ならい
東日本では、冬の季節風をならい、と呼ぶところがあります。
『物類称呼』に「江戸にては東北の風をならいと云。つくばならいというあり」とあって、東北の風、としています。
乾風(あなじ)
西日本では、冬の季節風を、あなじ、あるいは、あなし、あなせ、といいます。
冬の季節風は幾日も吹き続くことがあって海が荒れますので、乾風(あなじ)の八日吹き(ようかぶき)、といって関西の漁業関係者には悪い風として嫌われています。
木枯し(こがらし)
初冬に吹く、木の葉を吹き落として枯れ木のようにしてしまう、冷たい風のことです。
木枯らし1号は11月頃やって来ます。
木枯らしは、木嵐から転化した言葉、との説があり凩の字もあります。
山里の賎の松垣ひまをあらみ痛くな吹きそ木枯の風(後拾遺集)
玉風(たまかぜ)
東北、北陸地方では、冬の季節風を玉風と呼ぶ所があります。もともとは魂風(たまかぜ)と書き、北西風に名付けられたのは、その方角から鬼や外敵が来る、との言い伝えによるものといわれます。二月の北風を鬼北(おにきた)、と呼ぶことがあるのは、北東が鬼門になるからです。
颪(おろし)
山から吹き下りてくる冷たい強い風のことで、下と風を組み合わせた字です。富士おろし、筑波おろし、赤城おろし、那須おろし、六甲おろし、大山おろしなどの名があります。
雪解風(ゆきげかぜ)
雪解の頃に吹く風です。
おしあなじ(おしあなじ)
冬の南よりの風です。
松涛(しょうとう)
松の木を鳴らして吹く風です。
風花(かざはな)
珍しく青く晴れ渡った冬の日に、花のように雪を舞い散らせる風です。
科戸の風(しなとのかぜ)
風の美称で、罪や穢れを吹き払う風です。
(「し」は”風”、「な」は”の”、「と(ど)」は”処”」の意味です)
平野風(ひらのかぜ)
奈良・三重県境の高見山の西麓に吹く冬の強風です。
星の入東風(ほしのいりこち)
中国地方で陰暦10月ころ吹く初冬の北東風です。
明け方、昴が没する時刻に吹きやすいといわれます。
雪嵐(ゆきあらし)
強い風とともに雪が激しく降ることです。
ふぶき。
冬風(ふゆかぜ)
冬に吹く風です。
寒風(かんぷう、さむかぜ)
寒い風、冬の寒い風です。
朔風(さくふう)
北から吹く風。北風です。
「朔」は北の方角の意味だそうです。
陰風(いんぷう)
陰気な風。不気味な風です。
また、冬の風のことも指す。北風。朔風です。
朝風(あさかぜ)
朝吹く風で、日の出後、気圧の関係で陸上から海上へ、また、山頂から谷へ吹く風です。
夕風(ゆうかぜ)
夕方に吹く風です。
夜風(よかぜ)
夜に吹く風です。
疾風(はやて)
急に激しく吹く風。寒冷前線に伴うことが多いです。
北風(きたかぜ、あなじ)
日本においては、冬に吹く北西方向からの季節風のことです。
日本海側では多くの雪を降らせ、山を越えた太平洋側では乾燥した風となります。
西風(にしかぜ、せいふう、ならい)
西の方角から吹く風です。