【千夜一夜物語】(15) 詩人アブー・ヌワースの事件(第287夜 – 第290夜)

前回、”博学のタワッドドの物語”からの続きです。

゚★☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・☆★゚

教王ハルン・アル・ラシードは、ある日宮殿内の小屋にすばらしい美女がいるのを知る。
聞いてみると彼女は、教王の息子が彼に贈ろうとしていた女だったが、寵姫セット・ゾバイダの妨害で黒人宦官のもとにやられてしまったのだという。
アル・ラシッドは、アブー・ヌワースを召し出そうと思い、宦官に命じて彼の家に呼びに行かせるが、アブー・ヌワースは家にはおらず、宦官はあちこち捜し回って、バクダードの盛り場の評判の芳しからぬ飲み屋にいる彼を発見する。
宦官は、「すぐ来るように」というカリフの言葉を彼に伝えるのですが、アブー・ヌワースは、
「この飲み屋にいる少年に1000ドラクマやると約束したのだが、その金がなくて払えず、ここに人質になっているので出られない」
と答える。
その少年が絶世の美少年だったので、宦官はアブー・ヌワースが惚れ込むのも無理はないと思い、宮殿に戻って、これこれしかじかの理由で、アブー・ヌワースは飲み屋に人質になっているので来られないとカリフに報告する。
カリフはそれを聞いて憤慨しますが、同時に興味も覚えて、宦官に必要な金を渡してアブー・ヌワースを解放してやるように命じる。
宦官が飲み屋を訪れると、アブー・ヌワースは泥酔状態であらわれた。

一向に改めようとしないアブー・ヌワースにハールーン・アル・ラシードは追放を言い渡す。
しかし、やがてはアブー・ヌワースの滑稽な言葉に許してしまう。
アブー・ヌワースは、その後も教王アル・ラシードを怒らせたり笑わせたりドタバタを演じる。

こうして、教王アル・ラシードはこれ以降もアブー・ヌワースを近くにおいて重用した。

゚★☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・☆★゚

次回は、船乗りシンドバード(シンドバッド)の物語です。

4480038442448003845044800384694480038477448003840X4044069107