『三国志演義』第四十二回 張翼徳大いに長坂橋を閙がし、劉豫州敗れて漢津口へ走る

趙雲は大斧を振るう鍾進を槍で突き倒し、画戟をかわして弟の鐘紳を青釭の剣で真っ二つに斬った。
長坂坡まで戻ると張飛が橋の上に馬を止めており、大声で
「助けてくれ。」
と言って駆け抜けた。そして、劉備に糜夫人の最後を告げ罪を詫びて泣いた。
劉備は趙雲の胸当ての中で心地よく眠っている阿斗を地面にたたきつけて
「お前のせいで大将を一人失うところであった。」
と言った。趙雲はこの言葉に改めて忠誠を誓った。長坂坡に仁王立ちをしている張飛の殺気のすごさと諸葛亮の策を恐れて魏の大将達は動けなかった。そこに張飛は
「戦うのか逃げるのかはっきりしろ。」
と声を張り上げると夏侯傑が肝を潰して落馬し、曹操も馬を返して逃げ出した。張飛は後を追わずに橋を落として劉備のもとに戻った。しかし、橋を落としたため伏兵のないことを知った曹操軍が追撃を始め、漢津のあたりで追いつくがそこに関羽が劉琦と共に駆けつけた。曹操は関羽の顔を見ると大軍を退くように下知した。
劉備は夏口を関羽に守らせて江夏へ向かった。

曹操は劉備に先回りされるのではと江陵に兵を進めると、江陵を治める鄧羲と劉闡は降伏した。さらに荀攸の策で呉と協力して劉備を倒そうという話を持ちかけた。

一方呉では魯粛が劉備と協力して魏を破る事を進言し、劉表の弔問を名目に劉備に協力を申し出た。諸葛亮は魯粛と同行して孫権のいる柴桑郡に向かった。

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